大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和24(れ)3081 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

被告両名弁護人富沢準二郎上告趣意について。

所論東京都監察医A作成名義の死体検案書中死亡の日時欄内の「昭和二三年一〇

月三一日午「前」後二時〇五分」の記載は、同日午前二時〇五分の義を表示したも

のであることは右検案書中の他の記載例に考えても亦、昭和二三年一一月五日附B

(被害者Cの負傷後入院したD病院の医師)に対する検事の聴取書中同人の供述と

して「Cは入院手当を受けましたが段々衰弱して行き三一日午前二時五分頃死亡し

ました」の記載に照してもうなづかれるところであるから、原判決が被害者Cの死

亡時刻を午後二時五分と記載したのは午前二時五分の誤記と認められる。

しかも所論の被害者Cが死亡した時刻が昭和二三年一〇月三一日の午後であつた

か午前であつたかということは本件犯行の同一性に何等影響のないことがらである

のみならず、被害者の死亡の時刻は本件犯行の罪となるべき事実でもないから証拠

によつてこれを説明するの必要もないことがらである。

されば原判決には証拠上の違法は存しない。論旨は理由がない。

被告人両名弁護人折田清一上告趣意第一点について。

しかし、所論被害者の死因についての原判決の認定はその挙示する証拠に照して

これを肯認することができる。そしていかなる程度に証拠調をするか、いかなる証

拠を採用するかはいづれも事実審たる原裁判所の裁量に委されているところである。

されば原裁判所のした被害者の死因についての証拠調の限度、証拠の取捨乃至死因

の認定を非難する所論は上告適法の理由とならぬ。

同第二点について。

しかし、刑の執行猶予を言渡すか否かは事実審たる原裁判所の裁量に委されてい

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るところであるから、たとい、所論のように本件犯行は偶発的な、父子愛の発露に

いでたにすぎないものであり、被告人において被害者の葬儀を営み永代香料を贈る

等被害者に対して誠意を披瀝したとしてもそれにもかゝわらず原裁判所が刑の執行

猶予を言渡さなかつたからといつて、原判決を目して審理不尽の違法のものとはい

えない。所論は上告適法の理由とならない。

同第三点について。

しかし、所論九月六日の原審公判期日の調書には裁判長が次回期日を一〇月一一

日と宣した旨明記されていることは記録上明らかなところであつて、所論に主張す

るような理由をもつてこの調書に明記された公判期日の記載を誤りなりとすること

のできないことは旧刑訴六四条の規定に照して明らかなところである。されば所論

九月六日の公判期日に出頭していた弁護人折田清一は同日の公判廷において、裁判

長から次回期日を一〇月一一日と告知されたものといわなければならぬ。従つて同

弁護人が一〇月一一日の公判期日に出頭しなかつた事由は同弁護人側に存するもの

であるから、原審が同弁護人の出頭のないにもかゝわらず弁論を終結したからとい

つて原判決に付所論のような弁護権の制限をしたという違法は存しない。

論旨は理由がない。

よつて旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

検察官 安平政吉関与

昭和二五年五月二五日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 沢 田 竹 治 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

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裁判官 岩 松 三 郎

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