大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和24(れ)371 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

被告人両名弁護人西尾盛三郎同本郷桂上告趣意第一点について。

しかし、原判決の証拠説明は、被告人両名についての各判示事実(判示第一、同

第三の各事実)の認定資料として、各被告人に対する司法警察官又は検察事務官の

聴取書中判示同旨の供述記載の外に原審相被告人Aに対する司法警察官の聴取書中

被告人両名についての各判示と同旨の各供述記載を証拠として採用していることは

判文上明らかである。そして被告人の自白が存在する場合に相被告人の供述を補強

証拠とするを得ることは当裁判所の判例とするところである(昭和二三年(れ)第

一六七号同年七月一九日大法廷判決)。それ故、原判決には被告人の公判廷外にお

ける自白を唯一の証拠として断罪したという違法は存在しない。なお弁護人は原判

決事実摘示中にも亦原審相被告人Aに対する司法警察官の聴取書の供述記載中にも

右Aが被告人Bの開帳した賭博に関係した旨の記載がないから、右Aに対する司法

警察官の聴取書は被告人Bを断罪する証拠として採用することができない旨主張す

るのであるが、右聴取書中「次は八月二二日の午後二時頃a町bのcセメント工場

前通りのCという人の家へ参りますと奥座敷でCの主人、D、E、Fちやんその外

私の知らない人が二人位でコイコイコイ、後先などの金を賭けた花札博打をやつて

居りましたので私も仲間に這入つて午後十一時頃迄遣り百二、三十円位負けました」

の供述記載と被告人Bに対する検察事務官の聴取書中「a町bdC当三四年ハ東京

デ知り合トナリ戦争中当地ニ疎開サセタモノテ私ハ月一、二回位尋テ来ル事ニシテ

居リマス本年八月二二日正午頃G、A、同人ノ兄及名前ノ知ラヌ二人ノ者ト私宅テ

賭博ヲヤツタコトガアリマス別ニ初メカラ約束シテ集マツタ訳テハアリマセンガ」

の供述記載とを対照すると右Aの供述記載に「Cさんの主人」とあるのは被告人B

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を指しているのであり、賭場はCが開帳したのでなく同人宅で被告人Bが開帳した

のであることは容易に推断し得るのであるから原審相被告人Aに対する司法警察官

の聴取書を被告人Bについての判示事実を認定する証拠として採用したからといつ

て原判決には採証の法則に違背する不法ありということはできない。論旨は理由が

ない。

同第二点について。

所論の刑の酌量減軽又は刑の執行猶予を受けるに適するような事実の主張がな

された場合には事実審たる原裁判所はこの主張をとくと吟味判断して刑の量定をな

すべきものであることはいうまでもないところであるが、原審がこの主張を吟味判

断することと、原審のした吟味判断の仔細を判決に明示することとは別問題である

から、原審が所論の主張に対する判断を原判決に示さなかつたからといつて、原審

はこの主張を吟味判断しないで刑の量定をしたものだと即断することは早計である。

そこで、旧刑訴第三六〇条第二項(刑訴第三三五条第二項)は「法律上、、、刑ノ

加重減免ノ原由タル事実上ノ主張」のあつたときはこれに対する判断を示せと規定

しているのであるが、同項にいわゆる「法律上刑ノ加重減免ノ原由タル事実上ノ主

張」とはある事実が存在する以上必ず刑を加重減免すべきものと法律が特に規定し

ている事実の主張を指し、刑の裁量の標準となる諸般の情状に関する主張の如きを

いうのではない。従つて所論のような刑の酌量減軽又は刑の執行猶予を受くるに適

するような情状の主張は同条項にいわゆる刑の加重減免の原由たる事実上の主張に

あたらない。されば所論のような情状の主張に対する原審の判断を判示しなかつた

からといつて、原判決は毛頭同条項規定に反するものでもなければ刑法第七二条に

違背するものでもない。論旨は理由がない。

よつて旧刑訴第四四六条に従い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

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検察官 小幡勇三郎関与。

昭和二四年七月七日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 沢 田 竹 治 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 岩 松 三 郎

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