大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和24(オ)264 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人弁護士平木一郎の上告理由第一点、第二点について。

原判決が適法に確定したところによれば、昭和二元年一一月七日附訴外Dの本件

契約更新拒絶の通告は、第二次農地調整法改正法施行前に為されたものであるから、

県知事の許可なくとも一応有效になされたものであるが、その後右改正法により地

方長官の許可を有効要件とするに至つたので、右訴外人が新法の精神に従つて本件

引上許可申請を為し被上告人がE農地委員会における地主の自作を相当とする旨の

決議に基き本件引上許可の指令をしたものである。そして本訴請求は現に存する右

許可決定の取消を求めるものであるから、この点に対する所論第一点の(ハ)の主

張は採用し難い。

次に、右E農地委員会における地主の自作を相当とする旨の決議並びにこれに基

く本件許可指令の手続、方法等に違法の点のないことも原判決が証拠に基き適法に

認定しその認定に基き正当に判断したところであつて、その説示に理由の齟齬その

他の違法を認めることはできない。従つて所論第一点の(イ)、(ロ)及び(ニ)

並びに所論第二点の(イ)の主張は結局原判決の事実認定を非難するに帰し採用で

きない。

また、原判決が「本件引上許可の理由がDの自作を相当とするという点にあると

いうことは当事者間に争がない。」 と判示したことは、所論のとおりであるが、

右の判示は本件引上許可の理由が奈辺にあつたかとの事由についての判示であつて、

その理由が法律上理由あることについて争がないといつたものでないことはその判

示に照し明白である。そして、原判決の右の判示の正当であることは、本件当事者

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間の主張答弁に徴し明らかであるから、所論第二点の(ロ)の主張は原判示の誤解

を前提とするものといわなければならない。

されば、本論旨はすべてその理由がない。

同第三点について。

本件引上許可指令が農地調整法施行令一一条に違反しないことについても原判決

が詳細に判示しているところである。そして自作を相当とすることについて争がな

いとの原判決の判示が正当であつて論旨の誤解であることについては、前点で説明

したとおりである。次に所論Fの証言又は証人Gに関する所論は原審の裁量に属す

る証拠の取捨判断又は証拠調の範囲限度を非難するに帰し採用できない。また訴外

人が所論本件土地をHに交換を申込んでいる事実は原判決の認定しなかつたところ

でありその他所論生産が増大するか否か小作地の引上により賃借人の相当な生活の

維持が困難となることがないか等に関する原判決の事実の認定は、挙示の証拠で肯

認できその間経験則に反する点は見出すことができないし、また、その認定に基く

原判決の判断は正当であつて審理不尽、理由齟齬等の違法は認められない。それ故、

本論旨も採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い裁判官全員一致の意見で主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 真 野 毅

裁判官 岩 松 三 郎

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