大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和25(あ)1956 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人堀上與作の上告趣意第一点について。

論旨は被告人に刑の執行猶予を言渡さなかつた第一審判決を是認した原判決は法

律の解釈を誤つたものであるから憲法三一条に違反するものであり、大審院の判例

にも反する判断をしたもので、量刑も不当であるから、原判決は破棄を免れないと

いうにあるが、刑の執行猶予を言渡すか否かは事実審たる第一審及び原裁判所の裁

量に属するところであるから、被告人に刑の執行猶予を言渡さなかつた第一審判決

及びこれを是認した原判決はいずれも適法に裁量権を行使したのにすぎないもので

あつて、所論の法令の解釈を誤つたものでないことは勿論、所論引用の大審院の判

例に反した刑の執行猶予に関する法律上、事実上の判断を示してもいないのである

から、論旨は結局名を憲法違反と判例違反とに籍り、その実原判決の是認した第一

審判決の量刑を非難するに帰し、明らかに刑訴四〇五条所定の上告適法の事由にあ

たらないし、また、同四一一条を適用すべきものとも認められない。

同第二点について。

しかし、所論の刑訴四九五条において本刑に通算すべきものと定めている未決

勾留日数は当然に本刑より右日数を控除し、その残余の刑を執行すべきであつて特

に判決において右日数を本刑に通算すべき旨を言渡すべきものではないと解するを

相当とするから、原判決が同条において定める未決勾留日数を本刑に算入すべき旨

を言渡さないからといつて、同条に違反するものとの論旨はとるをえない。そして

同条に定めている本刑に通算すべきもの以外の未決勾留日数については刑法二一条

がこれを本刑に通算するか否かを明らかに事実審裁判所の裁量に属せしめているの

であるから、第一審判決並びに原判決が右未決勾留日数を本刑に通算すべき旨言渡

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さなかつたからといつて、所論刑法の規定に反するものとはいえない。そして所論

憲法三七条一項の公平な裁判所の裁判を受ける権利とは偏頗や不公平の虞のない組

織と構成をもつた裁判所の裁判を受ける権利と解すべきことは当裁判所の判例とす

るところであるから、本件のように被告人の未決勾留日数を本刑に通算しなかつた

第一審判決を是認した原判決が被告人から見て偏頗や不公平な裁判と思われるから

といつて所論憲法の規定に違反するものとはいえない。論旨はとるをえない。そし

て本件は刑訴四一一条を適用して原判決を破棄しなけれは著しく正義に反する場合

とも認められない。

よつて刑訴四〇八条に従い裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和二六年三月二二日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 澤 田 竹 治 郎

裁判官 眞 野 毅

裁判官 齋 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

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