大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和25(あ)2621 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

被告人の上告趣意について。

論旨に縷述するところは、第一審判決の判示殺人の所為は被告人の怒りの興奮に

酒癖の加わつた衝動的行為であるにとどまるものであると主張して、その裁量権内

で適法になした証拠の取捨判断乃至事実の認定を不当とするに帰し、明らかに刑訴

四〇五条に定むる上告適法の理由にあたらないし、また、同四一一条を適用すべき

ものとも認められない。

被告人弁護人淺井稔、同鍛治利一の各上告趣意第一、二点について。

淺井弁護人の論旨第一点並びに鍛治弁護人の論旨第二点はいずれも結局第一審判

決が援用している司法警察員作成に係る被告人Aの第四回供述調書中の同被告人に

不利益な供述記載は当該司法警察員の強制によつて同被告人のなした供述を記載し

たものであるから、右記載を証拠に引用した第一審判決並びにこれを是認した原判

決は憲法三八条二項違反たることを免れないものであるというのであり、また、淺

井弁護人の論旨第二点並びに鍛治弁護人の論旨第一点はいずれも第一審判決は被告

人Aが判示の殺人をしたのは金品奪取の目的にいでたものであることを同被告人の

司法警察員、検察官等に対する供述調書中の同被告人の自白だけを証拠として認定

しているのであるから、同判決並びにこれを是認した原判決はいずれも憲法三八条

三項、刑訴三一九条第二項の各規定違反たることを免れないというのである。され

ば各論旨は、いずれも原審において主張せず、従つて、原第二審判決において何等

判断をしなかつた論点であり且つ原審はかかる論点について職権調査の上判断をし

なければならない義務を負うものでないから、これをしなかつたからといつて違法

であるということもできない。従つて、各論旨は、すべて原第二審判決に対する上

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告適法の理由を定めた刑訴四〇五条所定のいずれの理由にも明白に該当しない。

被告人弁護人淺井稔、同鍛治利一の各上告趣意第三点について。

論旨はいずれも第一審判決がその裁量権内で適法になした事実認定並にこれを是

認した原判決の事実認定を非難するに帰するから、明らかに刑訴四〇五条に定める

上告適法の理由にあたらないし、また、同四一一条を適用すベきものとも認められ

ない。

よつて刑訴四一四条、三八六条一項三号に従い全裁判官一致の意見で主文のとお

り決定する。

昭和二六年四月五日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 澤 田 竹 治 郎

裁判官 眞 野 毅

裁判官 齋 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

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