大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和25(あ)926 決定

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理 由

被告本人の上告趣意について。

所論は事実審の裁量権に属する事実の認定若しくは刑の量定を非難するに止まり

刑訴四〇五条所定の上告適法の理由とならない。

弁護人井坂三郎の上告趣意第一点について。

所論は単なる訴訟法違反を主張するに過ぎないものであり刑訴四〇五条所定の上

告適法の理由に該当しない、のみならず前科調書と雖も証拠能力を有するものたる

ことは同三二三条一号の規定に徴し明らかであり、しかも第一審判決が所論の前科

調書を挙示援用したのは、単に情状の一端を認定する資料となしたに過ぎないもの

であること、同判決挙示の他の証拠の内容及びその判示の全趣旨に徴し明らかであ

り、同判決には所論のような違法はない。従つてこれと同趣旨において所論の控訴

理由を排斥した原判決も亦正当であり、論旨主張の如き単なる訴訟法の違反も存在

しない。論旨は採用の限りでない。しかも、本件は刑訴四一一条を適用すべき案件

とは認められない。

よつて刑訴四一四条三八六条一項三号一八一条一項に則り主文の如く決定する。

この決定は裁判官全員の一致した意見である。

昭和二六年一月一一日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 沢 田 竹 治 郎

裁判官 斎 藤 悠 輔

- 1 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!