大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和25(さ)5 判決

主 文

原略式命令を破棄する。

被告人を科料十八円に処する。

被告人が右科料を完納することができないときは金二円を一日の割合で

換算した期間被告人を労役場に留置する。

理 由

検事総長福井盛太非常上告申立の理由について。

記録を調べて見ると原審山口簡易裁判所は、被告人が昭和二三年一一月九日午後

六時三〇分頃自転車を運転して山口市a町交叉点路上を通行するに際し、所定の燈

火を設置せず且つ携帯しなかつたとの犯罪事実を判示し、これに対し道路交通取締

法二五条、二九条道路交通取締令一六条三項、山口県道路交通取締規則二条を適用

し、昭和二十四年五月三十一日「被告人を科料五百円に処する。右科料を完納する

ことができないときは金五十円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。」

旨の略式命令を発し右略式命令の謄本は、同年六月三日被告人に送達され、同年同

月一一日正式裁判請求期間の経過により確定したものであることは所論のとおりで

ある。しかし、原略式命令は所論のように罰金等臨時措置法を適用していないが、

右犯罪事実は、昭和二十四年二月一日同法が施行される以前の犯行であるから、そ

の当時における科料の最高額は、二十円未満であるのにかかわらず、原略式命令が

科料五百円の刑を科したことは法定の刑罰でない刑罰を科したものであつて、その

命令は刑法一七条に違反したものといわねばならない。それ故本件非常上告は、結

局その理由があるものと認める。

よつて刑訴四五八条一号本文により原略式命令を破棄すべきものであるところ、

該命令は、被告人のため不利益であるから同号但書に従い更に判決をすることとし、

原略式命令の確定した事実に対し法令を適用すると、被告人の所為は道路交通取締

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法一一条、道路交通取締令一六条三項、昭和二十三年山口県規則第二四号道路交通

取締規則二条に違反し、同法二九条に該当するところ、その犯罪後罰金等臨時措置

法により同条所定刑の変更があつたから刑法六条一〇条により軽い変更前の刑に従

い所定刑中科料刑を選択し、その金額の範囲内において被告人を科料十八円に処す

べく、右科料を完納することができないときは、刑法一八条に従い金二円を一日の

割合で換算した期間被告人を労役場に留置すべきものとし、主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

検察官 安平政吉関与

昭和二十五年七月一三日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 沢 田 竹 治 郎

裁判官 真 野 毅

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