大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和25(し)14 決定

主 文

本件特別抗告を棄却する。

理 由

本件特別抗告理由について。

原審第五回公判調書によれば、原決定の理由は、所論摘示のごとく「主任弁護人

がなした本件起訴状の無効を理由とする公訴棄却の申立については、裁判所におい

て公訴棄却の裁判をしないから、裁判長が訴訟の指揮として証拠調に入る旨を宣言

したことは、相当であり、何等不当若しくは不法のものではないから、これに対す

る異議の申立は理由がないものと認める」といつているに過ぎない。(そして、公

訴棄却の申立に対しては必ずしも事実審理に入るに先立つて裁判をしなければなら

ぬものではないから、原裁判所が所論申立に対し公訴棄却の、裁判をしないのは差

支えないと認められる。)されば、原決定は、刑訴二五六条六項の規定竝びに憲法

三七条一項の被告人は公平なる裁判所の裁判を受ける権利を有するとの規定の解釈

に少しも触れていないし、また、右憲法の規定は、裁判所の組織構成の公平を保障

するに過ぎない規定であるから、所論起訴状に対する前示刑訴の条項の解釈が如何

様であつても同憲法の条項に反する道理も存しない。従つて、所論は、原決定に対

する適法な特別抗告の理由とはなし難い。

よつて刑訴四三四条、四二六条一項に従い裁判官全員一致の意見で主文のとおり

決定する。

昭和二五年一二月二一日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 齋 藤 悠 輔

裁判官 澤 田 竹 治 郎

裁判官 岩 松 三 郎

- 1 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!