大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和25(れ)1460 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人内田弘文上告趣意第一点について。

原判決の判示事実によれば、被告人の本件犯行は昭和二三年九月一六日午後九時

頃a町のA工場倉庫において判示フイルムを窃取したというのであり、所論司法警

察官の訊問調書の記載によれば被告人は昭和二三年九月中旬午後九時頃b附近のセ

ルロイド工場からフイルムを窃取した旨供述しているのである。されば右供述はそ

の内容において犯行の日時場所の点についても判示と同趣旨ということができる。

原審が該供述を判示同旨として引用したからとて原判決に所論のような違法がある

とはいい得ない論旨は理由なきものである。

同第二点について。

原審は被告人が共謀の上判示窃盗をなしたことを認定しているのである。所論は

畢竟事実審がその裁量権の範囲内で適法になした刑の量定を非難するに帰着し上告

適法の理由とならない。

同第三点について。

所論前科の事実については、原審は、それを認定していないのであり、また、案

件の判断上これを認定する必要もないのであるから、この点に関する審理不尽を云

為する所論は上告理由として採用することはできない。また、記録によれば原審に

おいて被告人は本件窃盗の共同正犯ではなく単に盗品を運搬したに過ぎないもので

ある旨主張し、その立証として第一審相被告人Bの証人尋問を申請したに拘わらず、

原審がこれを採用しなかつたことは論旨の指摘するとおりである。しかし、如何な

る限度まで証拠調をなすべきかは事実審裁判所が各場合における諸般の事情を斟酌

して合理的に裁定するところに委ぬられているところであり、しかも原審は所論共

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同正犯の点に関しては既に他の証拠を取調べているのであるから、原審が右証人申

請を却下したとしても、これを目して、被告人に対し不合理に立証の途を阻止した

ものということはできない。原判決には所論のような違法はなく論旨は理由なきも

のである。

よつて旧刑訴四四六条に従い主文の通り判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

検察官 安平政吉関与

昭和二六年二月八日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 沢 田 竹 治 郎

裁判官 斎 藤 悠 輔

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