最高裁判所第一小法廷 昭和25(オ)225 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人木村盤根の上告理由第一点(一)乃至(四)について。
本件請求原因は、昭和二十年九月三日の契約(甲一号証)に基く請求にあるので
あるが、所論は結局、右請求原因発生の前提たる経過的事実関係の認定に関し原審
のなした証拠の取捨判断、事実認定を非難するに帰し、本件請求原因自体には関係
ない事柄であつて、たとえ、所論のごとき違法があるとしても、その違法は原判決
の主文に影響なく、所論は上告適法の理由とならない。
同第一点(五)及び(六)について。
原審の挙示した甲第四号証の一、二、及び第一審ならびに原審における証人の証
言等により第一軍需工廠が控訴(上告)会社に対し前渡として合計金五十万円を支
払つた外、更に終戦後契約打切による補償金として昭和二十年八月及び九月に合計
十六万五千円を交付したことを認めるに足り、原審のなした認定は不当ではない。
所論は、結局原審の適法になした証拠の取捨判断、事実認定を非難するに帰し、上
告適法の理由とならない。
同第二点について。
所論の点については、すでに原審で他の証人が訊問せられており(所論甲四号証
の作成経過については、甲四号証の作成者たる証人D等が訊問せられている)、所
論の証人は唯一の証拠方法でないことは明白であつて、所論は結局、原審の裁量に
属する証拠調の範囲について、原審のなした措置を攻撃するに帰し採用することが
できない。
同第三点について。
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原判決は、昭和二十年九月三日の本件契約は、なんら所論のように上告会社が政
府から軍需補償を受けることを条件としたものでなく、全く無条件に成立したもの
で、上告会社が政府から軍需補償を受けるというようなことは、本件契約の内容と
なつていないとの事実を認定しているのであつて、右認定は原審挙示の証拠により
十分肯認することができる。所論は結局原審が適法になした証拠の取捨判断、事実
認定を非難するに帰し、上告適法の理由とならない。
よつて民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文の
とおり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 入 江 俊 郎
裁判官 斎 藤 悠 輔
裁判官 岩 松 三 郎
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