大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和26(あ)1504 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人鍛治利一、同藤井剛士の上告趣意について。

所論第一点は、憲法三一条違反とはいつているが、その実質は単に第一審判決は

起訴のない事実について有罪の判決をした違法があるのに原判決がこれを是認した

違法があるということを新らたに当審で主張するに過ぎないものであつて、刑訴四

〇五条の上告理由に当らない。そして、本件起訴状によれば、検察官は被告人等が

奨励金を騙取せんと企て代金(含奨励金)支払の手続を為さしめ早期供出米の代金

と共に奨励金約八九万一二九九円を騙取した事実、すなわち、奨励金と不可分に結

合した代金合計約八九万一二九九円騙取の事実を起訴したものであり、第一審判決

は、供出米の代金並びに供出奨励金を騙取しようと企て供出米代金並びに供出報奨

金合計八九万一二九九円を交付せしめてこれを騙取したと認定したものであるから、

騙取の目的並びに騙取した金員の性質につき検察官と見解を異にしただけで起訴の

ない事実について有罪の判決をした違法は存しない。また、原判決は、第一審判決

挙示の証拠によれば報奨金名下に金八九万一二九九円を交付せしめてこれを騙取し

た事実を認定することができるので第一審判決には所論のような無証拠の事実認定、

審理不尽等の違法はない旨説示して原審弁護人の論旨を排斥しただけであつて、所

論のように供出米代金を騙取したとの第一審判決を誤れるものとして報奨金名下に

判示金員を騙取したとの事実を認定したものではない。されば、原判決が右のごと

く認定したことを前提とする所論第二点の憲法三九条後段違反の主張は、既にその

前提において採用することはできない。

よつて、刑訴四〇八条に従い、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和二八年一月一七日

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最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

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