大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和26(あ)5149 決定

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人厚地法人の上告趣意第一点について。

第一審判決が証拠とした被告人に対する大蔵事務官作成の顛末書は、被告人並び

に弁護人がこれを証拠とすることに同意したものであることは、記録に照らし明ら

かなところであるばかりでなく、原審控訴趣意においてもこれを是認するところで

あるから、該顛末書は、刑訴三二六条により証拠能力を有するものといわなければ

ならない。されば、右顛末書に被告人に対しあらかじめ供述を拒むことができる旨

の記載がないことを理由として憲法三八条一項に違反しその任意性がない旨を主張

する控訴趣意並びにこれに対する原判決の判断を違憲であると主張する所論は、い

ずれも結局前記顛末書を証拠とした原一、二、審判決に影響を及ぼさない主張に帰

し、上告適法の理由と認め難い。

同第二点について。

所論は、控訴趣意で主張しなかつた第一審判決の単なる法令違反について原審が

職権調査をしなかつたことを非難するに過ぎないものであつて、刑訴四〇五条の上

告理由に当らない。そして、第一審判決の所論改正法律を引用したのは、結局軽い

行為時法である改正前の酒税法六〇条一項、四項を適用する理由を説明するためと

解されるから、同酒税法の条項を適用した以上改正法律の引用に誤りがあつたとし

ても、判決に影響を及ぼさないこと明白である。されば、本件につき刑訴四一一条

を適用すべきものとも認められない。

よつて、同四一四条、三八六条一項三号、一八一条により、裁判官全員一致の意

見で、主文のとおり決定する。

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昭和二九年一月二八日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 入 江 俊 郎

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