大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和26(し)109 決定

主 文

本件特別抗告を棄却する。

理 由

本件特別抗告の趣意は、抗告人は肩書地に住む、戦災者であるところ、同地のa

町町長A、同町会議長Bが、さきに抗告人において告訴した同町助役Cらの業務上

横領詐欺、文書偽造、涜職被疑事件について町長並に町会議長として当然なすべき

調査をしない上、特に戦災者等に対する配給手続等において公務員としての職責を

全うせず、抗告人に対し刑法一九三条の職権濫用罪をおかしたので抗告人は右両名

を長崎地方検察庁佐世保支部に告訴したが、不起訴処分になり、その通知を受けた。

抗告人はこの処分に不服であるから、刑訴二六二条に基き長崎地方裁判所佐世保支

部に審判開始の請求をしたところ、請求棄却の決定を受けた。しかし、この決定は

特に請願権について定めた憲法一六条及び地方議会に対する請願について定めた地

方自治法一二四条に違反するほか、憲法一四条、一五条、一三条、三二条、九七条、

九八条、九九条等を無視したものであるというのである。

しかし、原決定は、刑訴二六六条一号に基く決定であるから、これに対しては、

同四一九条により不服を申し立てることができるものである。従つて、本件特別抗

告は、同四三三条一項の要件を欠き、不適法たるを免れない。しかのみならず記録

に徴するのに、原決定の示すごとく「刑訴二六二条による審判請求は刑法一九三条

乃至一九六条の罪、即ちいわゆる職権濫用、陵虐罪にあたる罪について告訴告発し

た者が不起訴処分の通知をうけた場合に認められている」にもかゝわらず、本件告

訴はその孰れにも該当せず、単に抗告人の調査要求を斥ぞけたに過ぎないのである

から、抗告人の行うべき権利を積極的に妨害し人権を蹂躙したことにならぬこと明

らかであるというべきである。本件抗告は右の告訴が刑法一九三条の罪についてな

されたことを前提とした上、原決定が違憲であることを縷々主張するものであるか

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ら、本件特別抗告はすでにその前提において採ることができない。

よつて刑訴四三四条、四二六条一項により、裁判官全員一致の意見で主文のとお

り決定する。

昭和二八年一二月二四日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

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