大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和26(れ)2451 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人小泉英一の上告趣意第一点中において、新憲法の施行によつて同法二一条

の出版自由の保障に違反する出版法は廃止されたのであり、「原判決の認定した販

売、所持は出版行為の内容をなす一部の行為に過ぎないから、これらの行為を処罰

した原判決は憲法二一条に違反する、と主張する。しかし、憲法の施行によつて出

版法が廃止されたことは所論のとおりであるが、出版法が行われていた当時には、

これによつて風俗壊乱文書を処罰し、その中にふくまれる猥せつ文書の出版に関し

ては、出版法に準拠し刑法一七五条の適用が排除されていたけれども、それは猥せ

つ文書に関してこの二つの法律が特別法と普通法の関係にあつたことによるもので

ある。この特別法たる出版法が廃止された現在の状態の下では、猥せつ文書の出版

は、刑法一七五条の適用をうけることになる。そして大法廷判決は、それを違憲と

は見ていない(判例集一一巻三号九九七頁以下、ことに一〇一二頁)。同点中その

余の主張は、事実誤認、単なる法令違反の主張を出でないものであつて、適法な上

告理由に当らない。

同第二点ないし第四点は、違憲をいうが、その実質は単なる訴訟法違反の主張に

帰し、適法な上告理由に当らない。

同第五点は判例違反をいうが、所論引用の判例は、本件のような連続犯の案件に

適切であるとは認めがたい。それ故、論旨は、採ることをえない。

同第六点および第七点は、事実誤認、単なる法令違反の主張を出でないものであ

つて、適法な上告理由に当らない。

弁護人江口三五の上告趣意第一点および第三点は、違憲をいう点もあるが、その

実質は単なる法令違反、事実誤認、量刑不当の主張を出でないものであつて、適法

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な上告理由に当らない。

同第二点中において、出版物を刑法一七五条で取締ることは、憲法二一条に違反

すると主張するが、その違憲でないことは大法廷判例の示すとおりである(判例集

一一巻三号九九七頁以下)。その余の主張は、単なる法令違反の主張で、適法な上

告理由に当らない。

よつて刑訴施行法三条の二刑訴法四〇八条により主文のとおり判決する。

この判決は、裁判官全員一致の意見である。

昭和三二年一二月一九日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

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