最高裁判所第一小法廷 昭和26(れ)610 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人川添清吉の上告趣意第一点について。
原判決引用の第一審判決にいわゆる密航とは、連合国最高司令官の許可を得ない
で判示覚書の引揚計画によらない渡航を意味するものであることは判文上明らかで
ある。原判決の事実摘示には具体的事実の判示として欠くるところはない。論旨は
理由がない。
同第二点について。
原判決が所論被告人の犯行を一罪として処断していることは明白である。これを
併合罪として取扱うべきものの如く主張する所論は被告人のため不利益を主張する
ことに帰し、上告適法の理由とならない。
同第三点について。
所論第二回公判調書に証人Aの尋問に際し宣誓前偽証の罰を告げた旨の記載の存
しないことは論旨の指摘するとおりである。しかし、宣誓をなさしむべき証人に宣
誓前偽証の罰を告ぐべきことを規定した旧刑訴一九九条は訓示的規定であり、いや
しくも証人に宣誓をなさしめて尋問をなした以上、たといその宣誓前に偽証の罰を
論示しなかつたとしても宣誓の効力そのものには何等影響なくその証言を無効なら
しめるものでないと解すべきことは当裁判所の判例とするところである(昭和二二
年(れ)第二〇九号同二三年四月一七日第二小法廷判決、判例集二巻四号三七三頁
参照)。されば、原判決に所論のような違法があるとはいい得ないのであり、論旨
は採用に値しない。
よつて旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判決する。
この判決は裁判官全員の一致した意見である。
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検察官 岡本梅次郎関与
昭和二六年七月一九日
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 岩 松 三 郎
裁判官 澤 田 竹 治 郎
裁判官 眞 野 毅
裁判官 齋 藤 悠 輔
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