最高裁判所第一小法廷 昭和26(れ)69 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人小關藤政の上告趣意第一点について。
しかし、旧刑訴法においは原審(控訴審)は第一審の続審ではなく、純然たる覆
審であるから、犯情その他控訴審の判決言渡に至るまでの諸般の事情を斟酌して適
当な量刑を為し得べく、従つて第二審が第一審と同一の刑を言渡すことのできる筋
合である。されば仮りに第一審判決後所論のような被告人に有利な情状が生じたと
しても原審は必ずしも第一審の判決の刑よりも軽い刑を言渡さなければならぬもの
ではない。そして旧刑訴四〇三条にいわゆる「原判決の刑より重い刑」とは「原判
決の主文における科刑にくらべて重い科刑」の意味であるから原審において第一審
と同一の刑を言渡した原判決をもつて同条に違反するものということはできない。
論旨は結局原審の適法にした刑の量定を非難するに帰し、上告適法の理由とならぬ。
同第二点について。
刑の執行猶予を言渡すか否かは事実審たる原裁判所の裁量に委ねられていること
であるから、たとい、論旨に縷述するような事情があるとしても、それにもかかわ
らず、原審が被告人に刑の執行猶予を言渡さなかつたからといつて、原判決を目し
て違法ということはできない。そして原判決を破棄しなければならぬ違法のかどの
ない本件について法律審たる当裁判所が刑の執行猶予を言渡すことの許されないこ
とはいうまでもないところであるから、論旨は上告適法の理由とならぬ。
よつて旧刑訴四四六条に従い裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
検察官 濱田龍信関与
昭和二六年四月一九日
最高裁判所第一小法廷
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裁判長裁判官 澤 田 竹 治 郎
裁判官 眞 野 毅
裁判官 齋 藤 悠 輔
裁判官 岩 松 三 郎
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