大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和26(れ)767 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

被告人三名の弁護人下山四郎の上告趣意第一点について。

所論憲法第三八条二項後段の規定は被告人の自白と不当に長い抑留若しくは拘禁

との間に因果関係の存在しないことが明らかに認められる場合の自白を証拠とする

ことを禁ずる趣旨のものでないことは当裁判所の判例(昭和二二年(れ)第二七一

号同二三年六月三〇日大法廷判決、判例集二巻七号七一五頁、同二二年(れ)第一

五二号同二三年一一月一七日大法廷判決、判例集二巻一二号一五五八頁)の趣旨と

するところである。ところで、被告人Aは昭和二一年五月二五日勾留状を執行され

たが旬日後の同年六月四日保釈され、保釈中たる同年一一月一日に至つて所論の同

被告人に対する予審判事の第二回訊問調書中に記載の自白がなされたものであるこ

とが記録上明らかであるから、同被告人の自白に被告人の勾留と因果関係のないこ

と明白であるといわなければならぬ。また、被告人B、同Cはそれぞれ昭和二一年

五月二五日又は同月三〇日勾留状を執行され、各同日にそれぞれ予審判事の第一回

訊問に対して各被告人のいずれもが本件犯罪事実を全面的に認めていることが記録

上明瞭であるから、所論の右両名に対する予審判事の第二回訊問調書中に記載の各

自白と被告人等の勾留との間には因果関係のないこと明らかなものといわなければ

ならぬ。されば、所論の被告人等に対する予審判事の第二回訊問調書中に記載の自

白をとらえて、不当に長く抑留若しくは拘禁後になされた自白であるとしてこれを

証拠とすることは違憲であるとの所論はとるをえない。

同第二点及び被告人B、同C弁護人土井美弘上告趣意第二点について。

論旨はいずれも、原審の裁量権内でした刑の量定を非難するにとどまるものであ

るから、上告適法の理由とならぬ。

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同弁護人土井美弘上告趣意第一点について。

原判決の判示事実の認定はその挙示する証拠によつてこれを肯認するに足り、そ

の間反経験則等の違法もないから、原判決には所論のような違法は存しない。論旨

は結局原審の裁量権内でした事実認定を非難するに帰し上告適法の理由とならぬ。

よつて旧刑訴四四六条に従い全裁判官一致で主文のとおり判決する。

検察官 竹原精太郎関与

昭和二六年七月一二日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 澤 田 竹 治 郎

裁判官 眞 野 毅

裁判官 齋 藤 悠 輔

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