大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和26(オ)888 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人亀井正男の上告理由第一点について。

論旨は本件家屋の賃貸借契約は、前所有者D時代に既に解約せられ、被上告会社

はこれを条件として本件家屋を同人から買つたものであつて、原判決が、被上告会

社が昭和二十三年二月二十七日附書面により上告人に対してなした申入を、賃貸借

契約解約申入と速断したことは、被上告会社の主張に係る事の推移と甲第四号証の

一の文体等に照らし、誤りであるというが、原判決は、被上告会社が訴外Dから本

件家屋を買いうけた経緯の説明として右Dから上告人に対し昭和二十一年五月以来

数回に亘つて本件家屋の明渡を要求した旨を述べているに過ぎないのであつて、右

要求をもつてDが上告人に対し解約申入をしたものと認定したものとは認められな

い。却つて原判決は、明かに、被上告会社が、本件家屋につき昭和二十三年二月二

十七日上告人に対し解約の申入をしたことを、原判決挙示の各証拠により適法に認

定しているのであつて従つて原判決には所論のような違法はなく、論旨は採用でき

ない。

同第二点について。

論旨は、仮に被上告会社から、賃貸借契約解約の申入の意思表示があつたとして

も、被上告会社は賃貸借の目的物たる本件家屋を譲受けたのであり、解約申入につ

き正当の事由の存在を肯定するには賃貸人の地位の変動のない場合に比し一層慎重

厳重でなければならないが、本件においては、正当の事由の存在を認めることがで

きず右解約申入は民法第一条に反する権利の濫用であるというが、原判決が被上告

会社の解約申入に正当の事由があるかどうかにつき適法に認定した各事実を考察し

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て判断すれば、当裁判所においても右解約申入に正当の事由があることを肯認する

に足り、右申入が民法第一条にいわゆる権利の濫用とは認められない。原判決には

所論のような違法なく、論旨は採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

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