大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和27(あ)309 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人中尾武雄、同坂上寿夫の上告趣意第一点について。

原判決の引用した第一審判決の判示第一(一)の事実摘示が「被告人は、昭和二

二年七月頃Aより交付を受けた主文第八項後段記載の塩酸モルヒネ注射液五百本を

昭和二五年三月頃迄の間被告人肩書の住居において所持し」と判示し、また、同第

九の事実摘示が「被告人は、昭和二一年六月四日以降同二五年八月二〇日頃迄の間

前記被告人宅に於て塩酸モルヒネ八、六五瓦…………を各所持し」と判示したこと

は、所論のとおりである。しかし、右判示を原判決の擬律と対照してこれを読めば、

右判示の昭和二二年七月頃又は昭和二一年六月四日とあるのは、入手の始期を示し

ただけで、判示全体の趣旨とするところは、要するに、昭和二三年七月一〇日公布

施行の麻薬取締法三条一項の禁止する所持をなした判示と解するを相当とする。さ

れば、所論(一)の憲法三九条前段違反の主張は、その前提を欠き刑訴四〇五条の

上告理由に当らない。しかのみならず、仮りに、一個の所持が罰則施行前から罰則

施行後まで引続き為され且つ新旧両法に跨りて為されたとしても、その一個の所持

全体に対して新法を適用して処断すべきものであつて、罰則施行前の部分を分割し

て無罪の言渡を為し又は旧法の部分を分割してこれに対し旧法及び刑法六条をも適

用すべきものではない。されば、所論(一)の主張は採用できない。

次に第一審判決の主文八項前段の塩酸モルヒネ約一〇瓦は、同後段のごとく被告

人から相被告人であつたAに交付され、同人は昭和二二年六月頃及び昭和二五年一

月頃の二回にこれを注射液に製剤してしまつたこと同判示並びに判示第一の(二)

の判示により明白であり、従つて、その所持は第一審判決の判示第九の塩酸モルヒ

ネ等の所持と別異の所持であることも明白であるから、所論(二)の憲法三九条後

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段違反の主張は、既にその前提において採用し難い。

同第二点について。

所論は量刑の非難で、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また、記録を調べて

も、同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四〇八条に従い、裁判官全員一致で、主文のとおり判決する。

昭和二九年二月二五日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 齋 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

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