大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和27(あ)4931 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人増原改暦の上告趣意第一点について。

所論は、違憲をいうが、その実質は、単なる訴訟法違反の主張であつて、刑訴四

〇五条の上告理由に当らない。(そして、所論供述中には伝聞に属しない部分も存

在するのであつて、所論伝聞に属する部分は、これを証拠にしなかつたものと認め

られるから、所論の訴訟法違反も認められない。)

同第二点について。

所論は、判例違反をいうが、所論判例は、心神耗弱に乗じたのではなく、単に心

神の発育不十分なるに乗じ、詐欺の手段を用い被害者を欺罔して借用証書を騙取し

た詐欺事件に対するもので、本件に適切でない。本件原判決の是認した第一審判決

は、当時心神耗弱の状態にあつた被害者に対し単に、「某検事の嫁に世話してやる

が同人は引揚者で衣類がないから同人にやる衣類を出して呉れと申向けて、その頃

同女より判示衣類の交付を受けこれを取得した」と認定判示しただけで、所論のよ

うに、検事云々との詐言を弄して衣類を騙取したと認定したものではない。従つて、

第一審判決が右事実に対し、刑法二四六条を適用しないで同法二四八条を適用し、

原判決も結局第一審判決には法令適用の誤も理由不備もない旨説示したのは、正当

であるといわなければならない。それ故、所論は採用できない。

同第三点について。

所論は、事実誤認の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また、

記録を調べても、同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて、同四〇八条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

昭和二九年三月一一日

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最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 入 江 俊 郎

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