大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和27(れ)124 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人端元隆一の上告趣意第一点は憲法三八条二項及び刑訴法三一九条違反を同

第二点は判例違反をいうが所論引用の最高裁判所大法廷の判決は本件被告人の警察

における自白調書が所論のごとく強制拷問に依るものであるから証拠とすることが

できないと判断したのではなく差戻前の第二審判決が、特段の事情のみるべきもの

がないにかかわらず同審の公判廷における右大法廷判決挙示の証言を措信するに足

らないとした点において経験則に違反したものであり、また審理を尽さずして司法

警察官に対する被告人の自白に任意性ありとした点において違法があると判示した

ものであることは右大法廷判決の判文極めて明瞭であつて論旨は右大法廷の判決の

趣旨を誤解したことに基くものであるといわなければならない。 そして、原判決

(差戻後の第二審判決をいう。以下同じ)はその第三証拠能力及び証拠の証明力に

ついて。の箇所において司法警察官及び検事に対する被告人の自白が強制拷問によ

るものでないことを詳細に説明判示しており、その説明は当裁判所においても正当

として是認することができる。従つて右自白を証拠に採用した原判決には何ら違法

はなく、所論違憲又は判例違反の主張はその前提を欠くものといわなければならな

い。同第三点は、裁判所法四条違反をいうが前記大法廷の判決の趣旨は上述したと

おりであるから、原審は右上告審の判断の範囲内で更に審判したものであること明

らかであり、従つて、原判決には所論のような違法はない。また同第四点は単なる

採証法則違反及びこれを前提とする事実誤認の主張を出でないものであつて、刑訴

四〇五条の上告理由に当らない。

弁護人大道寺慶男の上告趣意第一点は、憲法七六条三項及び裁判所法四条違反を

いうがその理由のないことは、前記端元弁護人の論旨第三点に対して説明したとお

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りである。同第二点は憲法三八条及び刑訴法三一九条違反をいうが所論は、前記端

元弁護人の論旨第一、二点に対して示した判断と同一の理由によつて結局その理由

を欠くものである。同第三点は単なる採証法則違反の主張であり、同第四点は、単

なる訴訟法違反、事実誤認の主張であつて、いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当

らない。

また、同第五点は破棄差戻前に提出した上告趣意書の記載を本件の上告趣意とし

て採用しているがその不適法なることは当裁判所の判例(判例集四巻一〇号二〇八

四頁参照)とするところである。

被告人本人の上告趣意は結局単なる訴訟法違反、事実誤認の主張を出でない(警

察における拷問を認めるに足りる証拠のないことは上述端元弁護人の論旨第一、二

点に対し示した判断のとおりである)から、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

また記録を調べても本件につき同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて刑訴施行法三条ノ二、刑訴法四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文

のとおり判決する。

昭和二八年六月一一日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

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