大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和27(オ)1132 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

政府が自作農創設特別措置法により農地の買収を行う場合には、単に登記簿の記

載に依拠し、登記簿上の農地の所有者を相手方として買収処分を行うべきでなく、

真実の農地の所有者から買収すべきものではあるが、行政上の事務処理の立場から

すれば、個々の農地につき一々真実の所有者を探究することは事実上困難であり、

公簿上の記載は、一応真実に合するものと推定するのが妥当であるから、一応、登

記簿その他の公簿の記載に従つて買収計画を定めることは是認せらるべきであり、

真実の所有者が右買収計画に対し、同法所定の異議を述べた時に、その計画実施者

たる農地委員会が該事実を審査し、その真実の所有者の所在に従つて買収計画を是

正すべきであり、その際、登記の欠缺をもつて異議を排斥すべきでないことは、当

裁判所の判例とするところである(昭和二五年(オ)第四一六号、同二八年二月一

八日大法廷判決、集七巻二号一五七頁)。しかし、右の如き買収計画が異議、訴願

等なくして確定し、買収令書の交付により買収処分に対しても出訴期間内に訴訟の

提起がなかつた場合には、それが登記簿上の名義人に対してなされたとの一事をも

つて当然無効であるとは解し得ないことも、当裁判所の判例とするところである(

昭和二四年(オ)第一七七号、同二五年九月一九日第三小法廷判決、集四巻九号四

二八頁、昭和二五年(オ)第二八〇号、同二九年一月二二日第二小法廷判決、集八

巻一号一五三頁、昭和三一年(オ)第八四五号、同三二年七月一八日第一小法廷判

決等)。しかるに、本件においては、原審の確定したところによれば、所論買収計

画及び買収処分に対しては、上告人より何ら争われることなくして経過し、右買収

処分は確定したのであるから(上告人は右買収処分の確定した後において、その買

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収処分にかかる農地の売渡計画に対し争訟を提起し、これに関連して、はじめて前

記買収処分の無効を主張するに至つたものである。)、前記当裁判所の判例に徴し、

右買収処分を無効とすることはできない。それ故、原判決は結局正当であつて、所

論は採るを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

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