大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和28(あ)2898 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人石田伊太郎の上告趣意について。

原判決が被告人においてA又はB商店の委託に基ずき判示商品を販売又はその仲

介をなし、よつて同人等のために業務上保管していた代金について「商慣習上数日

或は最大限一週間程度の短期間における一時流用のみが或程度迄黙認されていた…

…」と判示していることは論旨の指摘するとおりであるが、右原判示の趣旨とする

ところは他人のために所論のような代金を保管しているものは商慣習により判示短

期間内は実体法上自己のために一時これを流用し得る権限が認められているという

意味ではなく、たとえ一時私にこれを費消することがあつても、判示短期間内にこ

れを填補さえすればその刑責を追及しないことが実際上の慣例であるとの意に外な

らないのであつて、その事は右原判示の根拠とされた証拠の内容に照らし容易に了

解し得るところである。されば所論は原判示に副わない事実関係を前提とする単な

る法令違反の主張であつて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べて

も同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお

り決定する。

昭和二八年一一月二六日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

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