大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和28(あ)3012 判決

主 文

原判決及び第一審判決中の有罪部分を破棄する。

本件を浦和地方裁判所に差し戻す。

理 由

職権をもつて調査するに、第一審判決が認定し原判決の是認したところによると、

本件犯罪事実中被告人がAから借家権利金一万五千円を受領したのは昭和二二年八

月頃というのであるが(第一審判決摘示第一の事実)、この事実に対して第一審判

決は昭和二三年一〇月九日政令第三二〇号(即日施行)により新たに改正挿入され

た地代家賃統制令一二条ノ二、一八条一項三号を適用処断しているのであつて、ま

さに事後法令を適用した違法があるものというべく、刑訴四一一条一号により原判

決は破棄を免れない。尤も、第一審判決の認定した如く、かりに被告人がAから同

判示日時頃判示の如く借家権利金を受領した事実があるとするならば、右改正前の

地代家賃統制令一一条違反の罪の成立する余地がある訳であるが、この点について

は必要な審理が尽されたものとは認められないから、同四一三条により第一審判決

中有罪部分を破棄し、さらに本件を第一審裁判所に差し戻すのが相当である(なお、

本件各犯罪事実についても、事実誤認の疑がない訳ではない)。

よつて、論旨に対する判断を省略し、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判

決する。

この公判期日には、検察官川井寛次郎が出席した。

昭和三〇年一月一三日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

- 1 -

裁判官 岩 松 三 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!