大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和28(あ)4401 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

被告人A、同B、同C、同D、同Eの弁護人藤本信喜の上告趣意について。

所論は、本件被告人等の所為は、犯罪後の法令により刑が廃止された場合にあた

るから、免訴の言渡をしなければならないというのである。されば、刑訴四〇五条

の上告理由に当らない。そして、「昭和二七年二月六日大蔵省令五号によつて外国

とみなされる地域に変更があつても、外国又は外国とみなされる地域と本邦との間

において、免許を受けないで貨物を輸出又は輸入することが禁ぜられているという

関税法上の規範は、同令施行の昭和二七年二月一一日の前後を通じて依然として存

続され、従つて、無免許輸出又は輸入という所為の可罰性に関する法的価値もまた

終始かわるところがないと解すべきであるから、右地域の変更は、右昭和二七年二

月一一日以前に成立した関税法七六条違反の罪の処罰に何ら効果を及ぼすものでな

いと解するのが相当であつて、右大蔵省令五号の施行によつてその施行前に成立し

た関税法七六条違反の所為について刑の廃止があつたとすべきでない」旨は、当裁

判所大法廷判決の示すところである(昭和二八年(あ)第三七一号同三〇年七月二

〇日宣告、判例集九巻九号一九二二頁以下参照)。されば、原判決は、正当であつ

て、所論は、職権事由としても、採ることができない。

被告人Fの弁護人名嘉真武勝の上告趣意について。

所論は、事実誤認、単なる法令違反の主張を出でないものであつて、刑訴四〇五

条の上告理由に当らない。(なお、前記藤本弁護人の上告趣意についての説明参照)。

被告人Gの弁護人永井元の上告趣意について。

所論第一は、違憲をいうが、藤本弁護人の上告趣意について説明したとおり、本

件のような昭和二七年二月一一日施行の同年大蔵省令第五号施行前に成立した関税

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法七六条の犯罪については、同令により刑の廃止があつたものといえないから、所

論違憲論は、その前提を欠き刑訴四〇五条の上告理由に当らない。所論第二は、判

例違反をいうが、引用の大審院判例は、本件に適切でなく、これまたその前提を欠

き刑訴四〇五条三号の上告理由に当らない。所論第三は、判例違反をいうが、なる

ほど原判決は、所論引用の福岡高等裁判所宮崎支部の判例と相反する判断をしてい

ることは、所論のとおりであるけれども、原判決は、藤本弁護人の上告趣意につい

ての説明において引用した当裁判所大法廷の判例に合致し正当と認められるから、

刑訴四一〇条二項により前記宮崎支部の判例を変更して、原判決を維持するを相当

とする。

よつて、刑訴四〇八条により裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

昭和三二年一月三一日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

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