大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和28(あ)5081 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人鍛治利一、同安永沢太の上告趣意第一点は憲法三九条違反をいうが、同条

に「同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問われない」とは二度以上罪の有

無に関する審判を受ける危険に曝さるべきものでないという根本思想に基づくもの

であつて、その危険は、同一の事件においては訴訟手続の開始から終結に至るまで

の一つの継続的状態と見るを相当とし、一審の手続と控訴審の手続と上告審の手続

とは、同一事件においては継続せる一の危険の各部分にすぎないものであり、その

間においては危険は一つであつて二重の危険に曝されるとみるべきでないことは当

裁判所の判例(昭和二四年新(れ)二二号同二五年九月二七日大法廷判決、判例集

四巻九号一八〇五頁)とするところであつて、上訴審が事後審としての審理をした

に止まるとしてもその一事をもつては何等の違法なく、所論は理由がない。同第二

点は事実誤認、それを前提とする単なる法令違反の主張を出でないものであり刑訴

四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても同四一一条を適用すべきもの

とは認められない。

よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和二九年五月六日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

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