大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和28(あ)5689 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人広瀬武文の上告趣意第一点は、違憲をいうが、第一審判決は被告人の自白

の外所論摘示の各証拠を補強証拠として判示事実を認定したものであつて、右証拠

を綜合すれば、その認定を是認することができるから、所論はその前提を欠くもの

であり、同第二点は、犯意の認定についての事実誤認の主張であり、同第三点は、

事実誤認を前提とする法令違反の主張に帰し、いずれも、刑訴四〇五条の上告理由

に当らない。また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

(なお、第一審判決は、被告人の本件行為を過剰防衛行為であると認定して法律

上の減軽をした上更らに酌量減軽をして被告人を懲役四年に処しているのに、原判

決は証拠に基き過剰防衛行為に該当しないことも明らかであるとして被告人の控訴

趣意を排斥したものであるから、原判決は第一審判決を事実誤認又は判決に影響あ

る法令違反ありとしてこれを破棄し、たゞ被告人のため控訴をした事件であるの故

を以て第一審判決の言渡した懲役刑よりも重くない刑を言渡すべきものであつたと

いわなければならない。それ故、この点において原判決には違法がある。しかし、

本件は被告人のために上告した事件であるから、右の違法は原判決を破棄しなけれ

ば著しく正義に反するものとは認められない。)

よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお

り決定する。

昭和二九年四月一五日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 真 野 毅

- 1 -

裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 入 江 俊 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!