最高裁判所第一小法廷 昭和28(し)21 決定
主 文
本件抗告を棄却する。
理 由
本件特別抗告の理由は末尾添付の抗告理由のとおりである。
憲法三七条三項前段所定の弁護人を依頼する権利は被告人が自ら行使すべきもの
で、裁判所は被告人にこの権利を行使する機会を与えその行使を妨げなければ足り
るものであること、同条項後段の規定は被告人が貧困その他の事由で弁護人を依頼
できないときは国に対して弁護人の選任を請求できるものであり国はこれに対して
弁護人を附すれば足りるものであること及び同条項は被告人に対し弁護人の選任を
請求し得る旨を告知すべき義務を裁判所に負わせているものでないことは、既に当
裁判所の判例としているところである。(昭和二五年(あ)第二一五三号同二八年
四月一日大法廷判決参照)しかして原審の判示するところは、単に、被告人から控
訴した事件において、一審の弁護人であつた梅山実明、同伊藤静男から控訴趣意書
と題する書面が提出されたけれども、右弁護人等の原審における選任届は控訴趣意
書提出最終日を経過した後に提出されたため、右控訴趣意書は結局無権限のものに
よつて提出された無効のものであり且つ後に提出された弁護人届によつてその効力
を追完し得ないというにすぎないのである。
従つて、刑訴三七六条一項、刑訴規則二三八条準用の問題は生じないわけではな
いが所論のように憲法違反の違法はなく、所論は結局違憲に名を藉り単なる訴訟法
違背の主張をするに帰し適法な特別抗告の理由とならない。
よつて刑訴四三四条、四二六条一項に則り裁判官全員一致の意見で主文のとおり
判決する。
昭和二八年七月一六日
最高裁判所第一小法廷
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裁判長裁判官 岩 松 三 郎
裁判官 斎 藤 悠 輔
裁判官 真 野 毅
裁判官 入 江 俊 郎
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