最高裁判所第一小法廷 昭和28(オ)386 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
論旨
第一点について。
原判決の確定した事実によれば、所論調停はその内容において本訴請求と牴触す
るところがないから論旨は採用の限りでない。
第二点について。
本件が訴提起前にもまた提起后にも調停に付されていないことは所論のとおりで
あるが、本件のように調停の申立をすることなく訴を提起した場合には、裁判所は
事件を調停に付することを適当でないと認めるときは調停に付することを要しない
ことは、家事審判法一八条二項但書の明規するところであるから所論も亦採用の限
りでない。
第三、四点について。
夫婦間の性格の相違や夫の過去の非行が、それだけでは離婚の原因とならないこ
とは所論のとおりであろう。しかし、被上告人は右性格の相違や上告人の過去の非
行だけを離婚原因としているものではなく、其の他にも第一審判決事実の部記載の
ような事情が存在し、それらの全事実によつて上告人とは婚姻を継続し難いという
のであつて、原判決はその主張事実を肯認し、且つ所論のように上告人が名声を高
め功績を収めたとしても、被上告人は上告人との間に婚姻を継続し難い事由がある
ものと判断したのであつて、原判決認定のような事情である以上は当裁判所も原判
決の右判断を是認する。従つて、論旨は採用できない。
第五点について。
- 1 -
しかし乍ら、原判決は証拠によつて所論前段のような事実はなかつたものと認定
したのであるから、被上告人に所論の義務違反ありとすることは出来ない。また、
原判決認定のような事実によれば被上告人に上告人に対する所論後段のような事由
ありということも出来ない。故に論旨も理由がない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫
裁判官 斎 藤 悠 輔
裁判官 入 江 俊 郎
- 2 -