大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和28(オ)543 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告人ら代理人弁護士笹田英男の上告理由第一点について。

鉱業法上所論試掘権を以て石灰石を採掘取得することのできないことは所論のと

おりであるが、本件仮処分は広く「石材」を搬出することを禁止するものであつて、

単に石灰石のみに関する命令ではないから、所論の理由だけでは直ちに仮処分取消

の必要ないものとは云えない。尤も右「石材」のうち石灰石については取消の必要

ないごとくであるが、原判決は被上告人B1が岡山県知事の許可を得て本件山林内

において大理石採掘業を営んでいたことについて一応疏明ありとしているのであり、

鉱業法施行法(昭和二六年一日三一日施行)四条、五条によれば鉱業法施行の際現

に追加鉱物を掘採しているものは同条所定の期間その掘採の継続を許される旨規定

されているから、被上告人B1は一応右大理石(石灰石)の採掘権をもつていたも

のと認むべきで、従つて本件仮処分によつて被上告人B1の大理石の採掘及び搬出

が支障を来すことは否定し得ないこととなり、以上いずれの点よりするも被上告人

B1が財産上の損害を蒙ることは否定し得ないから、これを特別事情でないとする

論旨前段の主張は採用できない。しかして本件仮処分によつて保全さるべき権利が

金銭的補償によつてその終局の目的を達し得るものとの趣旨を判示した原判決の判

断は正当であつて、当裁判所もこれを支持する。故にこれと相容れない見解に立脚

する論旨後段の主張も亦採用できない。

第二点について。

しかし乍ら、本件仮処分は本件山林内において採掘した目的物件の搬出を禁止し

た趣旨と解すべきであつて、原審における上告人らの控訴申立も第一審判決を取消

- 1 -

して右と同趣意の判決を求めた趣旨と解しられないこともないから、原判決が被上

告人B2並びに同B3に対し特別事情がないものとして本件山林内において掘採し

た石灰石を搬出してはならないと判示したのは相当であつて、原判決に所論のかき

んありというを得ない。論旨は独自の見解に座して原判決を攻撃するもので採るを

得ない。

よつて、民訴四〇一条、八九条、九五条に従い裁判官全員の一致で主文のとおり

判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!