大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和28(オ)656 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を高松高等裁判所に差し戻す。

理 由

上告代理人弁護士福田亀之助の上告理由について。

原判決は、D工業企業組合が、中小企業等協同組合法に基づき設立された企業組

合であつて、被上告人はその理事であつたこと、本件手形裏書は昭和二六年五月一

日、右組合から被上告人にあてて為されたものであるが、右裏書については、右同

日組合理事会の議決を経て為されたものであることの各事実を認定した上、右裏書

は、前示協同組合法三八条により民法一〇八条の規定が排除せられ有効のものであ

ると断定したことは、原判文上明らかである。

しかるところ、右協同組合法三八条にいう「理事は理事会の承認を受けた場合に

限り組合と契約することができる。この場合は民法一〇八条の規定を適用しない」

との規定は昭和二六年七月一日から施行となつたものであつて、本件手形裏書当時

は、その改正前の規定である同三八条すなわち「組合が理事と契約するときは、監

事が組合を代表する」(後略)との規定が施行されていたのであるから右裏書譲渡

の効力を判断するについては右改正前の三八条に則るべきであつて、原判示のよう

に改正後の三八条に従つて組合理事会の承認があつたが故に有効であるとは断定し

得ない筋合であつたのである。

さすれば、原審としては、前示組合を代表する監事が、右裏書を為したか否か、

その裏書は手形行為の方式に従つて為されたか否かについて被上告人の釈明をきき

これに十分の検討を加えた上、審理判断をすべきであつたにも拘らず、原判文によ

つては原審がそれらの点に思を致した形跡を認められないが故に、原判決は結局審

理不尽、理由不備の欠点あるを免れないものと認めざるを得ない。よつて、趣旨に

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おいて本件手形裏書の効力を云為する論旨第二点は理由あるに帰するが故に、爾余

の論旨に対する判断を省略し、民訴四〇七条一項に従い、裁判官全員の一致で、主

文のとおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

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