大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和30(あ)3899 判決

主 文

本件上告を棄却する。

当審における未決勾留日数中五〇日を本刑に算入する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人成富信夫の上告趣意第一点は事実誤認、単なる訴訟法違反の主張であつて、

刑訴四〇五条の上告理由に当らない。同第二点は判例違反、事実誤認をいうが、原

審の是認した第一審判決が、その挙示の証拠により認定した事実を窃盗の既遂と判

断したことは、当審においてもこれを是認しうるところであり、そして右判断は所

論引用の判例に違反するものとは認められない。同第三点は原審において主張、判

断のない事項に関して判例違反、法令違反をいうものであつて、適法な上告理由と

は認められない。(当審弁護人は、控訴審の弁護人が控訴趣意書において累犯加重

の前提たる前科の事実の認定につき事実誤認を主張したというが、右控訴趣意書に

おいては、確実に被告人が本件の犯人であると断定し得る証拠に乏しいとして、本

件犯行の事実認定を非難したに止まり、そしてこの点に対する原審の判断は正当で

ある。なお、原審の是認した第一審判決が、刑法五六条一項、五七条の適用を誤つ

て累犯加重をした違法のあることは所論のとおりである。しかし、被告人は本件犯

行の外、三個の犯罪を犯し〔内二件は本件と同様窃盗である。〕ていることは記録

上明らかであり、しかも本件犯行は、他の犯罪につき昭和三〇年一月一二日仮釈放

せられた後数日にして同年一月二一日行つたものである等、諸般の事情を総合して

判断すれば、本件犯行はその犯情甚だ重く、被告人が懲役一年二月に処せられたこ

とについては、上記の違法に拘らず、刑訴四一一条を適用すべきものとは認められ

ない。)被告人本人の上告趣意は違憲をいうが、その実質は事実誤認、量刑不当の

主張であつて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

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よつて同四〇八条、一八一条、刑法二一条により、裁判官全員一致の意見で主文

のとおり判決する。

昭和三一年七月一二日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

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