大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和30(オ)372 判決

主 文

原判決中、別紙目録記載の不動産につき山口地方法務局萩支局昭和一八

年三月一日受付第四六七号を以てなされた、債権者並抵当権者合資会社B、債務者

A、昭和一八年二月二七日付契約、債権額二五〇〇円、弁済期同一九年二月二五日、

利息月別一歩、同支払期毎月末日なる抵当権設定登記の抹消登記を求むる部分、及

び右抵当権並びに抵当債務の不存在確認を求むる部分はこれを破棄する。

本件中右部分を広島高等裁判所に差し戻す。

本件上告中その余の部分を棄却する。

理 由

上告代理人弁護士武田弦介の上告理由第一点について。

原判決の引用する第一審判決が所論のとおりの事実を認定判示していることは、

その判文によつて明らかである。そして右認定事実によれば、被上告人は判示買戻

を実行しなかつたというのであるから、被上告人が右買戻をした上上告人において

明渡をしない場合に毎月支払うべきものであるという判示特約に基づく金五五〇円

の損害金債務は、発生する余地がなかつたわけであり、従つて右損害金が累算され

て判示の一九八〇〇円となり、それが判示のように弁済されて残額五五七二円とな

つたという原判決の判断は、他に何らか特段の理由の示されない限り到底首肯し難

く、原判決はこの点において理由不備のそしりを免れないものと云わざるを得ない。

のみならず、前記原判示認定の事実によれば、本件抵当債務二五〇〇円およびその

利息に対しては計金二〇九九円七七銭が支払われているのであるから、本件抵当権

そのものはともあれ、右抵当債務は少くとも右限度において消滅したわけであるが、

原判決は前示特約に基づく債務が本件抵当債務と同一のものであるかどうか、或は

別個の債務であつても(特に上告人の母亡Dが支払を約したという判示二九五〇〇

円について)、当事者間の特段な合意によつて本件抵当権がその債務をも担保する

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ことになつたものであるかどうか等前示二五〇〇円の抵当債権との関連について何

ら納得するに足る説明を加えることなく、ただ漫然と判示の債務関係の推移を記述

しただけで本件抵当債務はなお五五七〇円残存しているものと判断したのは、首尾

一貫しないものと云うべきであつて、到底理由不備の欠点あるを免れない。されば

所論は結局理由あるに帰し、原判決中叙上の部分は他の論点の審究をまつまでもな

く破棄を免れないものと考える。

第二点ないし第四点について。

所論は帰するところ、原審の裁量に属する証拠の自由な価値判断並びにこれに基

いてなされた事実認定を、自己独自の見方から所論の違法あるが如く非難するだけ

のものであつて、いずれも上告適法の理由となすを得ない。なお第二点の三にいう、

昭和二九年一〇月二二日付準備書面にもとづいて否認した所論主張に対して判断が

なされていることは原判文によつて明らかであり、被上告人の主張の変更が民訴二

五五条に違反するとの所論については、右変更にかかる主張のなされたことが著し

く訴訟を遅滞せしめない場合に当ると認められるから、所論はすべて採るを得ない。

よつて、民訴四〇七条、三九六条、三八四条に従い、裁判官全員の一致で、主文

のとおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

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