最高裁判所第一小法廷 昭和30(オ)376 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
論旨第一点について。
借家法一条ノ二の建物賃貸借解約申入の正当の事由とは、賃貸借の当事者の利害
関係その他諸般の事情を考慮し、社会通念に照らし妥当と認むベき理由をいうもの
であることは所論のとおりである(なお、最高裁判所第二小法廷、昭和二五年六月
一六日判決、集四巻六号二二七頁参照)。そして、原審は、その挙示の証拠により、
本件当事者双方の利害関係その他諸般の事情を比較考量し、上告人の本件家屋一部
明渡請求に正当の事由がないと判断しているのであつて、右判断はこれを是認する
ことができる。それ故、原判決は、所論引用の判例になんら牴触するところはなく、
判例違反の主張は採ることを得ない。また、所論は、店舗明渡の請求については借
家法一条ノ二の範囲外である旨主張するが、上告人が本件において明渡を請求する
目的物は建物の一部であることは明らかであり、その部分が店舗に使用せられてい
るからといつて、所論のように借家法一条ノ二の適用なしとする何らの根拠もない。
所論は採るを得ない。
同第二点について。
原審認定の事実関係の下においては(右認定は、原審挙示の証拠により是認する
ことができる。)、原審が本件解約申入に正当の事由がないと判断したことは正当
であつて、所論のように民法一条二項、三項に違反する点は認められない。
同第三点、第四点について。
論旨第一点に対する説示において述べたとおり、原審は、本件当事者双方の利害
関係、その他諸般の事情を比較考量して、本件解約申入に正当の事由がないと判断
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したものであることは、その判文上明らかであり、右判断はこれを是認できる。そ
れ故、原判決には所論のような訴訟法違反は認められない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 入 江 俊 郎
裁判官 真 野 毅
裁判官 斎 藤 悠 輔
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