大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和30(オ)536 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告人代理人弁護士田中長三郎の上告理由第一点について。

しかしながら、原判決は訴外Dが本件約束手形の受取人欄にE産業株式会社と記

入し、次いで、その第一裏書人欄に右会社名を記載し取締役社長として、Dと署名

した上被控訴会社(被上告人)に交付したことすなわち、形式上裏書譲渡による方

法によつて、本件手形が被控訴会社の手裡に帰したことを認定しているのであつて、

それが手形法の規定する流通方法によらない方法によつてなされたものとは認定し

ていないのであり、所論非難の点は右手形の譲渡人側に伏在する事情を認定したも

のに過ぎない。されば原判決には所論の違法はなく、論旨はひつきよう原判決の趣

旨を正解しないことに由来するものであつて、採るを得ない。

同第二、第三点について。

しかしながら、原判示のような場合、約束手形の裏書人が所論のいわゆる仮設の

株式会社であつても、形式上裏書の連続に欠けるところがない以上は、振出人であ

る上告人は手形行為独立の原則(手形法七条参照)により手形金支払の義務を免れ

得ないものである。原判決が所論裏書の実質的効力を云為し、手形法一六条に基い

て被上告人の手形上の権利に影響がない旨判示しているのは、正鵠を得ないきらい

がないでもないが、その究極の判断は正当である。所論は原判決の示した法律上の

見解に対する反論としては、首肯し得られても、上告人の本件手形上の義務を拒否

するについての理由付けとはならないから、原判決に影響を及ぼす違法を主張する

ものということはできない。それ故、所論は採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で主文のとお

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り判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

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