大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和30(オ)740 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人弁護士清瀬一郎、同内山弘の上告理由第一点について。

原判決は、その摘示した事実に徴すれば、被告会社(上告会社)が判示実用新案

登録出願前乙第二号証の一の記載内容を公表したものと認め難く、従つて、同号証

の一、二がD木材工業株式会社と被告との間に発表されたという事実により判示考

案が公知になつたものとするに足りない旨判示し、なお、原判決は、その採用した

証拠に基づき認定した各事実に徴すれば、結局本件特許発明は、その特許出願前に

は秘密の状態に置かれ一般第三者には公知の状態にはなつていなかつたものと認め

なければならない旨判示している。そして、右各判示は、その認定摘示事実に徴し

これを肯認することができるのである。されば、原判決には所論のごとき法令の解

釈、適用を誤つた違法を認めることはできない。

同第二点について。

証拠の採否は、事実審裁判所の裁量に属するところであり、また、証拠の信否に

関しては裁判所は逐一その理由を説明するを要しないものであること多言を要しな

いばかりでなく、原判決は、その挙示の各証言、被告代表者本人の供述及び乙第一

二号証の二、四及び五、並びに、乙第六号証中本件特許が公知であつたことを認め

うるような判示摘示部分は、被告代表者Eが公知でないと思料していたと認められ

る事実その他に徴しこれを信用し難いと判示した趣旨と解される。されば、原判決

には所論の違法は認め難く、所論は、結局原審の裁量を非難するに帰し、採るを得

ない。

同第三点について。

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上告人は、原審で所論冒認の事実を主張せず、従つて、原判決もこれを認定判示

しなかつたのであるから、論旨は採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 真 野 毅

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

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