大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和30(オ)947 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

論旨は、原判決に理由不備の違法がある、と主張する。

しかし、記録に拠ると被上告人は「上告人Aが上告会社と連帯して被上告人にそ

の損害を賠償すべき旨を約した」との主要主張事実に関連して「右上告会社が本件

事故発生当時以降具体的には何等の事業を為して居らず又何等資産の見るべきもの

を所有して居ないものである」旨の間接事実を主張し、右点に関する証拠方法とし

て所論甲二〇号証乃ち上告会社に対する動産執行不能調書を提出して居るものであ

ることを認め得られるのであり、原審が右証拠を採用したことは同号証記載の「昭

和二九年一〇月二七日の差押執行当時上告会社営業所には差押え得べき上告会社所

有動産が一物もなかつた」旨の前記間接事実の一部の存在を肯認した趣意にほかな

らないと看取されるのであつて、此の点については原判決に所論の如き趣旨不明確

理由不備の違法はない。

又、原審が「弁論の全趣旨」を証拠資料の一としたのは、上告人Aが被上告人主

張に係る「本件追突自動車は上告会社所有の乗用車である」との事実を否認し、又

「上告人Aも乗用車を所有して居ない」旨を主張して居るに拘らず、その提出に係

る乙一号証自動車登録原簿謄本によれば本件追突自動車が事故当時上告会社の所有

に属し、その後間もなく上告人A個人の所有に属するに至つたものであること等が

窺知し得られること、その他上告人Aが映画演劇興業等を目的事業とするD興業株

式会社、観光客を募集し団体旅行を実施すること等を目的事業とするE産業株式会

社、亜炭の採掘販売等を目的事業とする上告会社(資本金一〇万円)の各代表者で

あることその他本件弁論に顕われた諸資料を指称するにほかならないこと記録を通

- 1 -

覧することに拠つて容易に看取し得られるのであつて、此の点についても原判決に

所論の如き趣意不明確の違法ありと為し難い。

そして、これら原判決挙示の関係証拠を綜合するときは、原審の事実認定は当審

においても肯認することができるのであつて、この点に於ても原判決に理由不備の

違法はない。

その余の論旨は経験則、採証法則、論理法則の違背をいうが、結局上告人Aの意

思表示の解釈に関する原審の事実認定を論難するに帰し、採用に由ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、

主文のとおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!