大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和31(あ)1259 判決

主 文

原判決並びに第一審判決を破棄する。

被告人を第一審判決の判示第一の罪につき懲役一〇月に、同第二の罪に

つき懲役四月に、同第三の罪につき懲役四月に処する。

第一審における未決勾留日数中五〇日を右第二の懲役四月の刑に算入す

る。

第一、二、三審における訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理 由

札幌高等検察庁函館支部検察官検事田中良人の上告趣意について。

所論は、原控訴審で主張、判断のない事項に関するもので、従つて、原判決に対

する刑訴四〇五条三号の上告理由に当らない。

しかし、職権をもつて調査すると、原判決の維持した第一審判決は、所論摘示の

ごとく、判示第一の犯罪事実として昭和二五年二月二六日頃乾助宗四千貫、塩蔵助

宗七千貫を騙取した事実を、同第二の犯罪事実として昭和二八年二月二一日頃鰯煮

干一〇一貫を騙取した事実を、同第三の犯罪事実として(一)昭和二九年一月一一

日頃子供用オーバー等を、(二)同年同月一七日男物オーバー三枚を各編取した事

実を夫々認定し、以上四個の詐欺の事実につき刑法四五条前段、四七条、一〇条(

犯情第一の詐欺を重しと認めその罪の刑に加重)を適用して併合加重をし、被告人

を懲役一年六月に処したことは、所論のとおりである。 しかるに、被告人が所論

のごとく(一)昭和二四年一一月六日札幌高等裁判所函館支部において物価統制令

違反により罰金三〇万円に処せられ該判決は同二五年六月一〇日確定し、更に(二)

同二八年四月二二日函館簡易裁判所において道路交通取締法違反により罰金一〇〇

〇円に処せられ該判決は同年五月六日確定したことは第一審第五回公判調書、被告

人の検察官に対する供述調書(記録三二一丁以下)、被告人の前科調書(記録三二

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九丁)等により明白である。従つて、刑法四五条後段により第一審判決の判示第一

の犯罪事実と右(一)の確定裁判のあつた罪、同判示第二の犯罪事実と右(二)の

確定裁判のあつた罪とは夫々一連の併合罪であり、また、同条前段により同判示第

三の各犯罪事実は別個の一連の併合罪であつて、各一連の併合罪につき夫々各別の

刑を言渡さなければならないものといわなければならない。

ところが、第一審判決は、前述のごとく四個の犯罪事実全部を一連の併合罪とし

て一個の刑を言渡したに過ぎないものであるから、判決に影響を及ぼすべき違法が

あつて、これを破棄しないで確定させることは著しく正義に反するものといわなけ

ればならない。よつて、刑訴四一一条一号により第一審判決並びにこれを維持した

原判決を破棄し、同四一三条但書により被告事件につき直ちに判決すべきものとす

る。

第一審判決の確定した判示第一乃至第三の所為は、それぞれ刑法二四六条一項に

該当するところ、判示第一の所為と前示(一)の確定裁判のあつた罪とは、刑法四

五条後段の併合罪であるから、同法五〇条により判示第一の罪につき所定刑期の範

囲内において被告人を懲役一〇月に処すべく、判示第二の所為と前示(二)の確定

裁判のあつた罪とは、刑法四五条後段の併合罪であるから、同法五〇条により判示

第二の罪につき所定の刑期範囲内において被告人を懲役四月に処すべく、判示第三

の各所為は、同法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条、一〇条により犯情

重いと認める第三の(二)の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内において被告人

を懲役四月に処すべく、第一審における未決勾留日数は、判示第二の罪の審理につ

き生じたものであるから、その日数中五〇日は刑法二一条に則り判示第二の罪につ

き定めた刑に算入し、第一ないし第三審における訴訟費用は、刑訴一八一条により

被告人の負担たるべきものとし、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

昭和三一年一二月二〇日

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最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 真 野 毅

裁判官 入 江 俊 郎

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