大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和31(あ)339 判決

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人久保田昭夫の上告趣意第一点は違憲をいうが、憲法三七条の規定は裁判所

が被告人又は弁護人から申請した証人は不必要と思われる者までも悉く訊問しなけ

ればならないという趣旨でないことは当裁判所屡次の判例であるから、所論は採用

できない。同第二点は、単なる訴訟法違反の主張であつて(そして、被告人は、所

論控訴趣意書において、心神の喪失ないし耗弱の主張をしているとは認めらない。)

刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

被告人本人の上告趣意二は、事実誤認、単なる訴訟法違反の主張を出でないもの

であり、同三は、違憲をいう点もあるが、その実質は、単なる訴訟法違反の主張で

あり、同五は、単なる訴訟法違反、量刑不当の主張を出でないものであつて、いず

れも、適法な上告理由に当らない。同四は、原審の防禦権の侵害をいうが、記録に

よれば、原裁判所は控訴趣意書提出期間内たる昭和三〇年九月一二日(控訴趣意書

提出最終日は同月二六日)弁護士隅水準一郎を被告人の弁護人に選任し、同弁護人

は右最終期日までに趣意書を提出することを引受けたが被告人と談合の結果同年同

月二三日趣意書を提出しないで辞任し、同日原裁判所は弁護人樺島益生を被告人の

弁護人に選任し同弁護人は右最終期日までに趣意書を提出することを引受けたが同

年一一月一一日趣意書を提出しないで辞任した。そこで原裁判所は同月一五日弁護

士中西義治を被告人の弁護人に選任して同月一六日第一回の公判を開廷し同日同弁

護人は出頭して被告人の提出した控訴趣意書に基き弁論し、同日被告人は同公判廷

に出頭して同弁護人と打合のため同月三〇日まで公判期日の続行を求め原裁判所は

これを許可し、同弁護人は同月二八日補充控訴趣意書を提出し更らに同月三〇日の

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第二回公判期日に右補充趣意書に基き弁論の上被告人のため証拠申請をしたもので

あることを認めることができる。されば、原審の手続には原裁判所が被告人の防禦

権を侵害した事実を認めることはできない。

よつて、刑訴四〇八条、一八一条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとお

り判決する。

昭和三一年六月二一日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 真 野 毅

裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 入 江 俊 郎

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