大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和31(オ)497 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人弁護士阿部正一の上告理由について。

しかしながら、原判決はその判文によつても窺い得るが如く、訴外D(亡)は判

示事情の下に判示借入金を返済するときは直ちにその返還を受け得る約束で本件田

地を上告人に耕作させることを承諾し、次いで上告人の求めにより訴外Eを名義上

の賃借人として、F農地委員会の承認を経、本件田地の占有を上告人に移転したも

のと認定した上(以上の認定に経験則違背のかどを見出し得ない)、右Dと上告人

との右耕作に関する契約が、使用貸借或は賃貸借のいずれであつてもDが上告人に

対し本件田地を耕作させる権利を設定したことは判示理由によつて効力を生じてい

ないと判示しているのである。してみれば、原判決は本件田地について右両者間に

賃貸借契約が締結されたものとは明認していないのであるから、原判決が右Dと上

告人間の契約を賃貸借と認定したとしてるる論議する所論は原判示に副わないもの

と云わざるを得ない。そして所論訴訟の経過からして右Dに所論管理処分の権能が

あつたものと認定しなければならないわけのものではなく、また前示耕作の権利設

定が効力を生じないことについて原判示以上の理由付を必要とするわけのものでも

ない。

所論は要するに原判決に影響を及ぼすことの明らかな法令違背を主張するものと

は認められない。

よつて、民訴四〇一条、八九条、九五条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

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裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

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