大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和31(オ)591 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人石川勲蔵の上告理由第一、二、三点について。

しかし原審認定の所論各事実は、挙示の証拠に照して首肯できないことはなく、

採証の法則違反等所論の違法は認められない。論旨はひつきよう原審が裁量権の範

囲において適法にした証拠の取捨判断および事実の認定を争うに帰するから採用し

がたい。

上告代理人河辺久雄、同柴碩文の上告理由第一について。

訴外会社が、いわゆる同族会社である旨の上告人の主張につき、原審が特段の判

断を示していないことは所論のとおりである。

しかし原審は証拠に基づき所論五〇万円は前記訴外会社および訴外Dに貸与され

たものであると認定し、その後これに関し上告人主張のごとき更改があつたと認む

べき証拠がないと判断しているのであつて、原審の右認定、判示は挙示の証拠に照

し首肯できないわけのものではない。

所論の前記主張事実は、右主要事実証明の手段として主張された間接事実に外な

らないのであるから、たといその事実の有無について判断を示さなかつたとしても

これを目して違法とすべきではなく、また会社が負担した債務を、その会社が同族

会社であるというだけの理由で、所論の如く当然同族各個人の債務と認定しなけれ

ばならぬわけのものでもない。それ故所論は採るを得ない。

同第二について。

しかし所論引用の原判示の趣旨は、訴外Eには被上告人から民法一一〇条適用の

根拠となるべき基本的代理権を与えられていたと認むべき証拠がないから、同訴外

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人が被上告人を代理して上告人の所論更改契約を締結したかどうかの点を判断する

までもなく、同訴外人の表見代理を云為する上告人の主張は失当であるというにあ

ることは判文上極めて明白であり、いささかも上告人の主張を誤解したものとは認

められない。

論旨援用の諸証拠を検討してみても右訴外人が被上告人を代理する権限を有して

いたと確認するに足るものなく、所論証人Dの第一審第一回尋問調書七問以下の供

述も、訴外会社が右訴外人を通じ或いは代人として借財をしたという趣旨以外のも

のではなく、その余の証拠も論旨に摘録する程度の証言、供述でしかなく、原判示

を失当としなければならないものは何も認められない。

同第三について。

しかし所論甲一〇号証は、訴外会社の株主名簿であつて、これについての判示を

しなくても違法とすべきではないこと既に論旨第一について述べたとおりであり、

乙三号証、乙四号証も所論のいうほどに有力な反証となるものとは認められない。

なお本件契約成立に関する解釈につき、原判決には所論引用の高等裁判所判例に

違反の点は認められず引用の当裁判所判例は本件には適切でない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 高 木 常 七

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

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