大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和31(オ)858 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を東京高等裁判所に差し戻す。

理 由

上告人代理人江原三郎の上告理由について。

記録によれば、被上告人(原告)は、被上告人(原告)と上告人(被告)の父D

との間に、本件宅地三〇坪を五〇万円で売買することを約束し、即日二五万円を支

払い、残金は所有権移転登記完了と同時に支払うことを約した売買契約が、依然被

上告人(原告)と上告人(被告)との間に有効に存在している旨を主張しており、

上告人(被告)はこれを否認し、その証拠として乙第一号証を提出したことが認め

られる。そして右乙第一号証によれば、上告人の父Dと被上告人との間になされた

本件土地の売買契約は本件当事者間の合意によりこれを取り消し、上告人は改めて

右土地のうち東側半分一五坪を被上告人に引き渡す旨の合意が成立した趣旨の記載

があり、さらに、上告人本人は原審において、右乙第一号証記載のとおりの契約が

成立した旨陳述していることは記録上明瞭である。しからば、上告人は、原審にお

いて、弁論の全趣旨から判断して、その主張をしているものと解するを相当とする。

しかるに原審は、右乙第一号証に上述のごとき契約取消の記載の存する事実はこれ

を認めながら、上告人において右取消の事実を主張しなかつたから、その事実を認

定し得ないものとし、右契約取消の事実の有無につき何ら判断を示していないので

あつて、ひつきう原判決は当事者の主張を誤解し、ひいて、これに対する判断を遺

脱したものとして違法たるを免れず。この点に関する論旨は理由がある。それ故、

原判決はこれを破棄し、原審に差し戻すべきものである。

よつて、その余の判断を省略し、民訴四〇七条により裁判官全員の一致で、主文

のとおり判決する。

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最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 高 木 常 七

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