大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和31(オ)939 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人弁護士横川紀良の上告理由第一点について。

しかし、原判決は、控訴会社は昭和二七年一一月頃そのD営業所の設置を申請し

昭和二八年一月頃その許可を得たが、実際には右営業所における使用人も定めずま

た右営業所における事業も開始するに至らなかつたこと、一方Eは擅に控訴会社の

D営業所長と自称していたに止り控訴会社から営業所長に任命されたことのないこ

と、すなわち、Eは控訴会社の営業の主任者たることを示すべき名称を附した使用

人ではないことを認定、判示しているのである。されば、所論は、原判決の判示に

副わない事実関係を前提とする法令違背の主張に帰し、採るを得ない。

同第二点について。

しかし、原判決は、甲第一号証中の控訴会社D営業所Eなる記載、甲第三号証、

同第七号証の二中の控訴会社D営業所長Eなる記載は、いずれも控訴会社不知の間

に作成されたものであること、また、Eが控訴会社に関係あるもののごとく吹聴し、

F方に控訴会社D営業所なる看板を掲げ、甲第三号証の名刺を使用していたことを

控訴会社において許容していた事実を認めるに足る証拠がない旨認定、判示してい

るのであつて、控訴会社が控訴会社名を使用することをEらに許諾した旨の認定は

していないのである。されば、本論旨も、原判示に副わない事実関係を前提とする

法令違背の主張であつて、採るを得ない。

同第三点について。

しかし、原判決は、所論異例のことに属する点だけで、所論の誤認を認められな

いとしたものではなく、前記論旨第一、二点についての説示に掲げた結局被上告会

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社(控訴会社)は自己の商号を使用して営業をなすことをEに許諾したものではな

い旨の事実その他本件設計依頼の経緯、これが履行、あと始末等に関する原判示認

定の事実を綜合して認定したものであることその判文に照し明白であつて、所論異

例の事実のごときはむしろ蛇足に過ぎないものであることを看取するに難くはない

のである。しかのみならず、被上告会社が前記のごとき許諾をしなかつた以上、上

告人が被上告会社を営業主であると誤認したとしても、被上告会社においてその取

引に因り生じた債務につき弁済の責に任ずべきでないこというまでもないから、所

論は、結局原判決に影響を及ぼすべき法令違背の主張とすることはできない。また、

原判決は、E個人の設計依頼の事実を認定したが、右はとりもなほさず所論許諾の

なかつた事実を認定したものに外ならないから、毫も当事者の主張しない事実を認

定したことにならない。それ故、所論は採るを得ない。

同第四点について。

原判決理由は、複雑であつて簡明を欠き、徒らに重複する点もないではないが、

しかし、原判決理由には所論のごとき一貫性を欠き、もしくは、喰い違いのある点

は認められない。それ故、所論も採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 高 木 常 七

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