大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和32(あ)157 判決

主 文

本件上告を棄却する。

訴訟費用は被告人Aの負担とする。

理 由

被告人Aの弁護人山県辰夫の上告趣意第一は、違憲をいうが、その実質は単なる

訴訟法違反の主張であり(そして、所論の証拠は相被告人Bのみに関するものであ

つて、被告人に関係のないものであるから、所論は被告人Aの上告理由として採る

を得ないばかりでなく、この点に関する所論原判示は正当であり、かつ誤記と認め

た理由の判示についても欠くるところがない。)、同第二は、量刑不当の主張であ

つて、いずれも、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

被告人Aの上告趣意は、違憲をいう点もあるがその実質は、単なる訴訟法違反(

所論証人は相被告人の証人であるばかりでなく、その証人尋問調書および検証調書

は、原審第二回公判において適法に証拠調がなされ被告人並びに弁護人はこれに対

し何等の意見をも陳述していない。)、事実誤認、量刑不当の主張を出でないもの

で、その主旨とするところは、本件に対する自己の責任はこれを認めるが、自分が

C事件を自白するに至つた動機に対する原判決の認定が異なり且つD事件について

は他に本来の主犯者が有し自分は従犯的であるというに帰する。されば所論は刑訴

四〇五条の上告理由に当らないし、また、記録を調べても同四一一条一号ないし三

号を適用すべきものとも認められない。

被告人Bの弁護人竹上半三郎、同富沢準二郎の上告趣意第一点は、第一審判決が

被告人Bに対する証拠として援用している同人に対する検察官作成の第一回乃至第

三回供述調書は、憲法三八条二項に違反するのを違反しないと判断したのを非難す

るに帰する。しかし、仮りに被告人の逮捕拘禁が不法であつても、その一事でその

後における供述調書が強要による証拠能力のないものであるといえないことは、当

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裁判所屡次の判例とするところであるから、所論被告人Bに対する緊急逮捕(昭和

二七年一〇月二日午後八時三〇分頃緊急逮捕され翌三日裁判官の適式な逮捕状が発

せられている)が仮りに所論のごとく違法であるとしても、それだけで、所論検察

官に対する供述調書を違憲のものということはできない。また、仮りに、被告人B

が警察において所論四ないし六掲記の同被告人の供述、証人E、同Fの証言のよう

に拷問、強制を受けた事実があつたとしても、本件では警察における供述調書は証

拠としていないのであるから、問題は生じない。さらに、警察における自白の強要

が検察官に対する自白に因果関係を及ぼすこともないではないが、所論七のGの証

言、所論八の被告人の供述その他の理由だけでは、この点につき原判決がなした所

論摘示の結局被告人Bの検察官に対する第一乃至第三回供述調書についてはその任

意性を疑う余地なき旨の判示を失当であるとすることはできない。されば、所論違

憲の主張はその前提を欠き採るを得ない。同第二点中判例違反をいう点は、所論引

用の判例は本件に適切でないから、その前提を欠くものであり、その余は事実誤認

の主張に帰し、いずれも、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

被告人Bの上告趣意は、同被告人の検察官に対する供述調書が警察における拷問、

強制、脅迫、誘導に基づくほか更らに検事の強制、脅迫、誘導によるものであつて、

原判決の事実認定は誤認であるというが、検事の強制、脅迫、誘導があつたとの当

審における新らたな具体的主張事実についてはこれを認めるに足りる証拠がなく、

その他の点に対する原判決の判示は、これを正当として是認することができるから

(ことに、本件記録上相被告人Aが、被告人Bに対し何らかの恨を抱く事情の認ひ

べきものがないし、また、被告人Bと共謀して本件犯行をしたと主張することによ

つて特にA被告人自身の利益となるものとも認められないから、原判決がA被告人

の供述を虚偽としてその真実性を否定し得ないとした判示は首肯することができる)、

所論は採るを得ない。

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よつて、刑訴四一四条、三九六条、一八一条(被告人Aのみに対し)により、裁

判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

検察官 吉河光貞出席

昭和三二年一一月一四日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

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