大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和32(オ)1015 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人佐生英吉、同内田善次郎、同横山勝彦、同稲葉隆の上告理由第一点に

ついて。

しかし原審認定の事実関係の下において、被上告人の代理人Dが上告人に対し本

件金員を預入れるにつき、Eに上告人を代理して預金契約を結ぶ権限があると信ず

べき正当の理由(無過失であることも含めて)があつたものと認めた原審の判断は

首肯でき、その間たとい所論主張の如き事情があつたとしても、それらの事情は直

ちに右Dの過失を推断せしめるに足るものであるとはいえないから、原判決には所

論の違法は認められない。

同第二点について。

しかし所論の準備書面は、原審の口頭弁論期日において陳述された形跡は認めら

れないから、原判決がそれについて何らの判断をしなかつたとしても所論の違法あ

りとはいえない。

同第三点について。

しかし原判決は、当時制度として存在しなかつた所論特別定期預金契約の成立を

認めたものでないのは勿論、その他の定型化された預金契約の成立を認めたもので

もなく、むしろ利率等においてそれら定型のものとは異る特殊の預金契約を締結し

たものと認め、その約旨に基づく支払の請求を認容したに過ぎないのであるから、

このような契約が所論定型契約と条項を異にすればとて、そのことから直ちに本件

契約は上告人との間の預金契約ではなくて、E個人との契約であると断ずることを

得ないのは勿論、その契約の効力を否定すべきものでもない。さすれば原判決には

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所論の違法はないというべく、論旨は採るを得ない。

同第四点について。

しかし本件の契約利子が、当時定められていた定期預金の金利の最高限を超えて

いるからといつて、所論の如く、本件預金契約全部が無効になるというわけのもの

ではない。所論はひつきょう独自の見解に立脚して原判決を非難するに帰するから

採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 高 木 常 七

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

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