大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和32(オ)163 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人岸達也、同松田直喜の上告理由について。

原判決の、訴外Dが税務署を相手どつて訴を提起したが、結局示談ができて税務

当局が物納解除の有効なことを認め云云の判示は、本件土地につき税務当局が一た

ん物納による大蔵省のための所有権取得の登記をしたが、その後物納解除を認め、

登記の抹消がなされたとの事実の経過の説明であつて、右Dと税務署との間の訴訟

手続に違法があるか否かのごときは、右登記が抹消された結果本件土地が引続き右

Dの所有であると認めるのが相当である旨の原判示自体に直接影響を与えるもので

はない。されば、この点に関する第一点前段の所論は、判決に影響を及ぼすことの

明らかな違法を主張するものではなく、採るを得ない。

次に、原判決は被上告人の予備的になした判示建物収去、敷地明渡の請求を是認

したものであつて、判文によれば、その理由とするところは次のごとくである。即

ち、本件土地は訴外Dの所有に属すること、被上告人は右土地につき昭和二三年以

来建物所有を目的とする賃借権を有すること、上告人は右Dとの間に訴外Eを介し

て、本件土地の占有部分について借地法九条にいわゆる一時使用のための賃貸借契

約を締結したこと、右Eは、本件土地の賃貸を承諾する代理権は有しなかつたが、

上告人にはEに代理権ありと信ずべき正当の理由があつたものと解すべく、DはE

のした本件契約について、その責に任ずべきものであつたこと、右契約には特約と

して、右Dにおいて必要とするときは、何時でも解約の上右土地の明渡を請求しう

べき暗黙の合意がなされていたこと、右Dは右特約に基いて上告人に対し明渡の請

求をしないので、右Dの債権者である被上告人は、同人に代位し本訴において右特

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約に基き前記賃貸借契約の解約申入れをなし上告人に本件土地の占有部分の明渡を

求めるものであること、従つて上告人は右Dに対し本件土地占有の正権原を有しな

いものであり、被上告人において右Dの所有権を代位してその占有部分の明渡を求

めた以上、上告人は、右占有部分に存置しある原判示の建物を収去すべきであり、

右土地の明渡の請求を拒むべき何らの理由がないことを判示しているのである。

そして、叙上の点に関する原審の事実認定は挙示の証拠にてらし首肯することが

でき、また本件賃貸借が借地法九条にいわゆる一時使用のための賃貸借に当るとし

た原判決の判断も原判示事実関係の下ではこれを正当として是認することができる

のであつて、この点に関し原判決に所論第二点ないし第四点のような違法はない(

なお、原判決の解約申入後一ヶ年を経過したものと認められる云々の説示は、無用

蛇足のそ辞と解するを相当とする。)。

なお、被上告人が物納の解除された旨を主張していることは、原判決の事実摘示

中に、被上告人の代理人の主張事実として「本件土地は訴外Dにおいて昭和二二年

八月五日頃財産税納入のため物納申請をしたが、Dは昭和二三年七月三日右財産税

を金納したので、同年一一月二五日なされた物納による所有権移転登記は誤りであ

つて、昭和二四年一〇月一九日右登記を抹消された」旨の記載のあることによつて

うかがわれるところであり、そのような主張のなかつたことを前提として原判決の

違法をいう所論第一点、第三点各後段の論旨は、原判示に副わない主張であつて採

るを得ない。

所論第五点に引用の別の訴訟事件において、原判決と異なる判断がなされたから

といつて、その一事をもつて原判決を違法とすることのできないことは明瞭であり、

所論は採るを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

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最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 高 木 常 七

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