最高裁判所第一小法廷 昭和32(オ)182 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人弁護士塚本助次郎の上告理由第一点について。
所論の点に関する原判示は措辞いささか不十分であるが、要するに、判示の如き
事情にあつた訴外Dは昭和一四年一〇月頃北支に渡航するに際し、本件不動産を含
むその所有財産を被上告人に贈与し、ただその所有権移転の登記手続をのみ昭和二
八年一〇月二七日経由したというのであり、その認定に資した原判決挙示の証拠に
照せば、そのような認定もできないわけのものではない。そして叙上の事実に徴す
れば、所論登記簿上の贈与契約成立の日が登記の日と一致し、右認定に係る契約成
立の日と一致しないからといつてそれだけで原判示のような認定ができないという
わけのものではない(登記簿の契約成立の日時の如きは常に必ずしも真実と一致す
るものではない)。所論は、ひつきよう原審の裁量に任されている証拠の自由な判
断並にこれに基いてなされた自由な事実認定を非難するに帰するものであつて採る
を得ない。
同第二第三点について。
所論は原判決の認定していない事実に基く主張であるばかりでなく、仮に原判示
の贈与契約が社会道徳ないしは信義誠実の原則に反し、また相続法規に反する無効
の行為であるとしても、それだけで民法四二四条に基く取消権の対象となるもので
はない。所論もすべて採るを得ない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第一小法廷
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裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫
裁判官 入 江 俊 郎
裁判官 高 木 常 七
裁判官斎藤悠輔は出張につき署名押印することが出来ない。
裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫
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