最高裁判所第一小法廷 昭和32(オ)226 判決
主 文
原判決中「控訴人のその余の請求を棄却する」との部分を破棄する。
本件を広島高等裁判所岡山支部に差戻す。
理 由
上告代理人弁護士神川貫一、同鳴海一二三の上告理由第三点について。原判決は
その判文によつても明かなとおり、判示特約は損害賠償の予定と解すべきではない
から、被上告人の本件債務不履行については過失相殺の規定を当然に適用すべきで
あり、しかも上告人に判示のような事実がある以上はこの事実は上告人の過失とし
て斟酌さるべきであるというのである。しかしながら、判示特約が損害賠償の予定
と解すべきでないという所論の当否はともあれ、原判決が上告人の過失として指摘
する事実は、他に首肯するに足る何らかの事情の附け加えられない限り、それだけ
では、いまだ以て上告人の過失と即断し得ないものと解するを相当とする。してみ
れば、原判決には叙上の点において審理不尽、理由不備の欠点を蔵するものという
の外なく、所論は結局理由あるに帰し、原判決は、爾余の論点に対する審究をまつ
までもなく、この点において破棄を免れないものと認めざるを得ない。
よつて、民訴四〇七条一項に従い裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫
裁判官 斎 藤 悠 輔
裁判官 入 江 俊 郎
裁判官 高 木 常 七
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