大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和32(オ)630 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告人Aの上告理由第二点について。

原判決は判示二〇八坪が元来係争家屋の敷地として家屋使用の為め附随せしめら

れた土地であること、その内東側の約一〇〇坪が疏菜栽培に使用されているが、そ

れは便宜的措置であること等を認定して、右約一〇〇坪は農地法にいわゆる「農地」

に当らないとし、農地法を適用すべきでないとの趣旨を判断しているのであり、原

判示の如き事実関係の下においてその判断は相当であることを首肯し得られる。所

論はひつきよう右に反する事実関係を主張して事実認定に関する原審の専権行使を

非難するに帰し上告適法の理由とするを得ない。

同第四点について。

しかし、本訴中所論部分はその訴旨によつて明らかなように原判示賃貸借契約の

解除を原因として目的物件の返還を求める訴訟であり、所有権に基いて物の引渡を

求める訴ではないから、所論登記の有無を問題とする余地はないのである。所論は

採用できない。

同第五点について。

所論は趣旨いささか明瞭を欠くが、要するに上告人は地代家賃統制令による統制

額(最高額)に従う意思がなかつたとし、従つて統制令に基く告示改正により統制

額が増額されても、賃料増額の合意の成立するに由がないから原判示賃料債務も発

生するの余地がない、というに在るものと理解される。しかし、地代家賃統制令に

よる「停止」統制額は原則として他の諸物価に比照し極めて低廉であることが顕著

であるから、従来統制額を賃料と定めて来た当事者は、告示改正により統制額が増

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額された場合でも特段の事情のない限り右改正告示による統制額に従いこれを増額

する意思を有し、賃借人も賃貸人の増額請求に応じてこれを承諾するものと推認す

るを相当とし、右特段な事情の特に主張のなかつた本件においても、その例外の場

合ではなかつたものと解するを相当とし、これと同一趣旨に帰するものと解される

原判決の判断は固より正当である。所論はひつきよう右に反する独自の所見に外な

らないものであつて採るを得ない。

以上の外違憲をいう点を除いて、所論第一点、第三点、第六点は原判決に影響を

及ぼすこと明らかな法令違背を主張するものとは認められないし、また違憲をいう

点も、その実質は叙上に判断した事項に関する単なる法令違背の主張を出でないも

のである。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致を以て主文の

とおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 高 木 常 七

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