最高裁判所第一小法廷 昭和33(あ)2246 決定
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人青木紹実の上告趣意は、事実誤認の主張に帰し、刑訴四〇五条の上告理由
に当らない。およそ、判決は、簡単明瞭でなければならない。しかるに、原判決の
是認した第一審判決は、冗長であつて、無用の判示が多くその要旨を捕捉するに苦
しむのである。しかも、原判決は、被告人が第一審第一回公判(記録八丁)で傷害
致死の犯行を否認しているにかかわらず、これを自白したものとしている。かよう
に、原判決は、所論のごとく審理不尽の嫌なしとしないが、第一審判決挙示の証拠
(但し右件のごとき事件については、単に証拠の標目を羅列するだけでは適当でな
く、その主要のものについては、その採用した内容部分を摘録するのを相当とする。
すなわち犯罪事実の判示を簡単にすると同時にその採用した証拠の内容部分の摘録
を詳細にする方法を採るべきである。近時の事実審判決は、その工夫の足らないた
め徒に事件の確定に混乱を来していることが少くない。)によれば、結局被告人が
飲酒自暴自棄の結果無茶苦茶となり居住部落A方B館にあつた柳葉庖丁一挺(証第
五号)をもつて、判示日時、場所において暴行の意思をもつて何等怨恨もないCの
左大腿部を突き刺して死に致した犯行を肯認することができるから、本件につき刑
訴四一一条三号を適用すべきものとは認められない。
よつて、同四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文
のとおり決定する。
昭和三四年四月二三日
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔
裁判官 入 江 俊 郎
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裁判官 下 飯 坂 潤 夫
裁判官 高 木 常 七
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